灯油ボイラーのお湯が出ない5パターンを解説!水は出る・水圧が弱い・凍結時の対処法
「キッチンの蛇口だけお湯が出ない」
「お風呂のシャワーだけ水圧が弱い」
「家全体で水は出るけど、お湯だけが出ない」
「水もお湯も出なくなった…!」
このように、お湯が出ないトラブルに見舞われると、焦ってしまいますよね。
お湯が出なくなる理由はいくつもあるため、原因を特定していく必要があります。
今回は灯油ボイラーをご利用で、かつ、お湯が出ないトラブルについて解説していきます。
- お湯は出ないが水は出るパターン
- 全くお湯も水も出ないパターン
- なんとなくお湯の出が悪いパターン
- 特定の蛇口のお湯や水が出ないパターン
- ぬるいお湯しか出ないパターン
上記のように代表的な5つのパターンに加え、「水圧が弱い」と感じたときの対処法についてもお伝えしていきます。
灯油ボイラーのお湯が出ない原因と対処法
お湯は出ないが水は出るパターン
給湯栓を絞りすぎている、又は出湯量が少ない
給湯栓を絞りすぎている、又は出湯量が少ない場合、水しか出ないことがあります。
湯量が少なすぎると、適切な水圧と流量が確保されず、単純に機械が燃焼開始の動作に入らないためです。
まずは給湯栓を確認して、給湯栓を絞りすぎているときは十分に開けてみてください。
出湯量を増やして、十分な水圧と流量を確保すれば、徐々に温度は安定してきます。
もし出湯量の設定を少なくしているなら、設定を見直してみると良いでしょう。
灯油切れを起こしている
灯油切れ状態になっていると、燃料がないためお湯を沸かすことができません。
まずは灯油タンクの残量を確認しましょう。必要に応じて灯油を追加します。
灯油切れは、灯油残量がゼロになっているケースが一番想像しやすいでしょう。
しかし実際には、次のような場合にも、灯油切れの症状が起こります。
- 灯油の量が著しく減っている(ゼロではない)
- 灯油が汚れている
このような場合でもリモコンが灯油切れを示したり、不着火に繋がることがります。
万が一、灯油切れが原因だった場合には、給油と同時にエア抜きの作業も必要になります。
エア抜きのやり方は必ずお使いのメーカーの取扱説明書に記載されている手順を確認して、実施してください。
給水栓のフィルター(ストレーナー)が詰まっている
ボイラーの給水栓のフィルターに汚れやゴミが詰まっていると、お湯が出ないことがあります。
特に、次のケースでは異物や汚れが詰まってしまいやすいです。
- 水道管工事の直後
- 井戸水を使っている
- 購入してから年数が経過している
フィルターは、ボイラーの給水元栓の配管の近くにあります。
メーカーによっては「エアチャージ栓」又は「水フィルター」と表記されることがあります。
例)ノーリツ OTX-405YV の場合(エアチャージ栓フィルター付き)
お湯を出すためには、ボイラーに水を供給して温めなければなりません。
しかし、このフィルターが詰まっていると、水を供給する部分が詰まっているため、入水圧力が落ちてしまいます。
その結果、水量センサーが反応せず、ボイラーの着火動作が開始されません。
この場合、フィルター(ストレーナー)の詰まりを掃除をしてゴミを取り除くことで症状が改善することがあります。
ボイラーの型式や種類によって、水抜き栓の場所は異なるため、お使いの給湯器の取扱い説明書を確認してください。
掃除方法も、取扱説明書に記載されています。
お湯も水も全く出ないパターン
断水している、又は水道元栓が閉まっている
地域全体で断水が行われている場合、お湯も水も供給されません。
同様に、水道元栓が閉まってる場合も、家全体の水の供給が止まります。
断水の場合は、復旧を待ちましょう。
水道元栓が閉まってる場合には、元栓を開きましょう。
ボイラーの給水元栓が閉まってる
ボイラーの給水元栓は、ボイラーへ水を供給する部分です。
給水元栓が閉まっているとボイラーに給水できないため、お湯を沸かすことができません。
ボイラーでお湯を沸かすには、給水元栓が完全に開いている必要があります。
完全に開かれていない場合にもお湯が出ないことがあるため、きちんと開いているか確認しましょう。
冬季で配管が凍結している
冬季で配管が完全に凍結すると、お湯が全く出ないことがあります。
配管の凍結は、配管の中の水が凍って詰まってしまうために起きる現象です。
この場合、自然に凍結解消を待つのが好ましいです。
どうしても人為的に凍結を解消したい場合は、専門業者に対応を依頼しましょう。
素人が対応すると、かえって、配管を破裂させてしまうおそれがあります。
しかし、どうしても個人で対応したい場合は、自己責任で対応しても良いでしょう。
凍結している配管を特定して、少しずつ、ぬるま湯をかけて解凍します。
配管の凍結解消の方法は、基本的にはどの給湯器も同じなので、こちらの記事も参照してください。
お湯の出が悪いパターン
給水栓のフィルター(ストレーナー)が詰まっている
「お湯は出ないが水は出るパターン」でもご紹介しましたが、給水栓のフィルターが詰まっていると、お湯が出なくなる一歩前の症状として、お湯の出が悪くなることがあります。
このフィルターが詰まると、ボイラーへ水を供給する流量や圧力が不安定になり、水量センサーがうまく動作せず、着火が不安定になるためです。
フィルターをお掃除することが必要です。
▶「お湯は出ないが水は出るパターン」の説明を参照してください。
配管が詰まっている・劣化している
フィルターの他にも、配管に汚れやゴミが詰まっている場合、お湯の出が悪くなってしまうことがあります。
さらに、家全体で水圧が弱い場合や、水が赤くなっているような場合は、配管の劣化が考えられます。
この場合、個人で対応するのは難しいでしょう。
メーカーや業者に依頼して配管を掃除してもらうか、配管を新しく交換する必要があります。
冬季で配管が凍結している
「お湯も水も全く出ないパターン」でもご紹介しましたが、冬季で配管が凍結すると、お湯の出が悪くなることがあります。
完全に凍結すると、お湯が全く出ないこともあります。
▶「お湯も水も全く出ないパターン」の説明を参照してください。
特定の蛇口のお湯や水が出ないパターン
1カ所の蛇口だけお湯が出ず、ほかの蛇口からはお湯が出るという場合は、蛇口の不具合や故障の可能性があります。
例えば次のような場合は、キッチン蛇口が故障している可能性があります。
例)
- 洗面・浴室の蛇口からはお湯が出る
- 追い焚き付き給湯器で追い焚きも問題なくできる
- しかし、キッチンの蛇口からのみお湯が出ない
「蛇口からお湯が出ない=ボイラーの故障」と考えがちですが、別の蛇口から問題なくお湯が出るなら、ボイラーが故障している可能性は低くなります。
慌てずに、別の場所の蛇口からは問題なくお湯が出るのかを、まずはご確認ください。
一部の蛇口からのみお湯が出ない場合は、次の部分をチェックします。
- 蛇口の止水栓が閉まっていないか
- 蛇口のストレーナーが詰まっていないか
次で説明します。
蛇口の止水栓が閉まっていないか
蛇口には、それぞれ止水栓がついています。
止水栓が閉まっている場合、蛇口から水やお湯を出すことはできません。
止水栓が開いた状態であるか確認しましょう。
止水栓は水量調節機能も担っているので、必ずしも全開とは限りません。
止水栓を絞りすぎている場合も、水やお湯が出ないことがあります。
蛇口のストレーナーが詰まっていないか
蛇口には、異物を除去するストレーナーがついています。
このストレーナーが詰まっていると、お湯や水の出が悪くなることがあります。
蛇口の分解掃除が苦手な方は、専門業者に掃除してもらいましょう。
ぬるいお湯しか出ないパターン
ボイラーの設定温度が低すぎる
ボイラーの温度設定が低い場合、当然ですが、ぬるいお湯しか出ません。
リモコンで、ボイラーの給湯温度が何度に設定されているかを確認してみましょう。
リモコンで設定する給湯温度は、実際に使用したい温度よりも5〜10℃は高く設定しておきましょう。
普段から、使いたいお湯の温度に合わせて、リモコンの温度を40℃前後に設定していないでしょうか?
リモコンの設定温度と、蛇口の混合栓の設定温度が同じだと、実際に出てくるお湯は、設定温度よりぬるくなることがあります。
例)
- リモコンの設定温度:40℃
- サーモシャワー混合栓の設定温度:40℃
- →実際に出てくるお湯:37〜38℃
なぜなら、サーモシャワーなどの蛇口の混合栓は、基本的には熱湯と冷水を混ぜて適温にしながら出湯する仕組みのため、どうしても出湯する過程で水が混ざるからです。
リモコンの設定温度を適温にしてしまうと、混合栓から出るお湯は、水が混ざって、ぬるくなることがあります。
リモコンの設定温度は、実際に使用したい温度よりも5〜10℃は高く設定しておきましょう。
混合水栓の逆止弁からボイラーへ水が逆流している
混合水栓の逆止弁が故障すると、ボイラーのお湯がぬるくなることがあります。
逆止弁とは、給水・給湯配管への水の逆流を防止する弁のことで、逆流防止弁とも言います。
通常、混合水栓には、お湯側と水側にそれぞれ逆止弁がついています。
例)
お湯側の逆止弁が故障すると、水側から入ってきた水が、お湯側の配管に入り込み、ボイラーへ向けて逆流します。
すると、ボイラー内のお湯の温度が下がってしまい、お湯がぬるくなります。
これはボイラーの故障ではなく、蛇口の故障(逆止弁の故障)が原因です。
蛇口を修理することで解決します。
ボイラー内部の混合弁(ミキシング弁)が故障している
ボイラー内部の混合弁(ミキシング弁)が故障していると、お湯がぬるくなることがあります。
混合弁とは、熱湯と水を混ぜて適温する役割をもった部品です。
通常、ボイラーで作られるお湯は70〜80℃の熱湯です。
この熱湯は、実際には、リモコンで設定した給湯温度に調整するために、ボイラー内の混合弁で水を混ぜています。
この混合弁が故障すると、温度調整がきちんと行われず、お湯がぬるくなるのです。
混合弁の故障は、経年劣化で生じやすいボイラーの症状と言われています。
年式が古いボイラーを使っている場合には、混合弁の交換を検討しましょう。
リモコンは「エラーなし」で、お湯が出ないケース
お湯が出ない場合、通常はリモコンにエラーが表示されます。
そのため、エラー内容を確認して対応することが多いでしょう。
しかし、稀に、リモコンを見ても「エラーなし」で、お湯が出ないというケースがあります。
リモコンにエラーが出ないケースでよくあるのが、水量センサーの不良です。
水量センサーとは、ボイラー内に入ってくる水を検知する部品です。
本来は水量センサーが水の流入を検知することでボイラーが着火動作に入りますが、これが故障していると着火動作に入りません。
水量センサーはボイラーの機械に内蔵されているため、個人での対応は難しいです。
専門業者に部品交換を依頼しましょう。
井戸水を使用しているときの注意点
井戸水を使用していて、お湯が出ないなら次の3つが原因となっている可能性があります。
- 給水フィルターが詰まっている
- 減圧弁が詰まっている
- 井戸水を汲み上げるポンプが故障している
井戸水は通常の水道水に比べると、ボイラーの劣化や詰まりに影響を与えやすいです。
水質が影響して、フィルターや接続部の詰まり・不具合を生じさせやすいため、これらが原因となることも多いです。
給水フィルターの詰まりは「お湯は出ないが水は出るパターン」の説明を参照してください。
また、ボイラーではなく井戸水を汲み上げるポンプが故障していた、というケースもあるため注意が必要です。
原因となる項目をそれぞれ確かめて、もし故障しているようなら修理しましょう。
灯油ボイラーの水圧が弱い原因と対処法
灯油ボイラーを使っていて「水圧が弱い」と感じる方もいます。
水圧が弱いといっても、いくつかパターンがあります。
- 浴室シャワーの水圧の弱さが気になる
- 家の水圧が全体的に弱くて気になる
ほかにも、賃貸マンションに住んでいる場合は、勝手に水栓や給湯器をいじることに不安を感じる方もいるでしょう。
個人で出来る対策を次にまとめていきます。
シャワーだけ水圧が弱いときの対策
シャワーヘッドの詰まりを清掃することで水圧が改善することがあります。
詳しくはこちらの記事を参照してください。
家全体の水圧が弱いときの対策
灯油ボイラーには直圧式と貯湯式の2つのタイプのボイラーがあります。
直圧式の灯油ボイラーは水道水の水圧をそのまま利用するタイプのボイラーなため、水圧が弱いことで不満を感じることはほとんどありません。
直圧式の灯油ボイラーを使っていて「最近、急に水圧が弱くなった」と感じるなら何かしらの不具合か故障の可能性が大きいです。
早めに専門業者に相談しましょう。
一方、貯湯式の灯油ボイラーは、別名「減圧式ボイラー」とも呼ばれ、水圧を下げている(減圧している)のが特徴です。
貯湯式の灯油ボイラーは、そもそも水圧は弱いため、それを無理やり改善するのは難しいでしょう。
経年劣化が進んでいるようであれば、直圧式の灯油ボイラーに交換するのが一番の解決策です。
一時的な応急処置としては、設定温度を上げることが有効です。
灯油ボイラーではまず70〜80℃の熱湯を沸かし、その熱湯を水道水と混ぜて、適温にして出湯しています。
貯湯タンクにためるお湯の設定温度を上げておけば、出湯するときに混ぜる水道水も多くなるため、水道水の水圧を利用しやすくなります。
マンションに住んでいるときの対策
賃貸マンションに住んでいる場合は、個人が勝手に給湯器を触るのは無用なトラブルを招く可能性があります。
水圧の問題が頻繁に発生する場合は、管理会社に相談して定期的な点検やメンテナンスの実施を依頼しましょう。
給水装置や配管に問題がある場合は、対応してくれるでしょう。
まとめ
今回は灯油ボイラーをご利用で、かつ、お湯が出ないトラブルについて代表的な事例を解説していきました。
お湯が出ないトラブルに見舞われると、焦ってしまいますが、落ち着いて対応しましょう。
場合によっては、ボイラーの故障ではなく、うっかりミスの場合や蛇口の不備による場合があります。
原因がわからない場合は、専門業者に相談するようにしましょう。