ポンプから異音?キャビテーションの原因と対策をわかりやすく解説
最近、給湯ポンプから「ゴボゴボ」「バリバリ」といった音が聞こえていませんか?
循環ポンプの近くで聞こえる異音は、もしかしたら「キャビテーション」という現象かもしれません。
キャビテーションは、配管やポンプ内部で水の中に気泡ができ、その泡が潰れるときの衝撃で金属を削ったり、異音を発したりする厄介な現象です。
放置すればポンプやバルブを壊すだけでなく、配管全体にも深刻なダメージを与える可能性があります。
この記事では、現場でよくあるポンプの異音とキャビテーションの関係を丁寧に解説します。
不要な出費やトラブルを避けて、スムーズに対処するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
キャビテーションとは?|ポンプに起こる“泡の爆発”
キャビテーションとは、液体が流れる中で局所的に圧力が下がり、水の中に「気泡」が発生し、その泡が瞬時に潰れる現象です。
この泡の崩壊時には強い衝撃波が発生し、金属表面を削ってしまうほどの破壊力を持っています。
ポンプや配管内でこの現象が起こると、「ゴボゴボ」「バリバリ」といった異音が発生します。
しかもこれは単なる“音の問題”ではなく、ポンプの羽根(インペラ)やシール部分がダメージを受け、最悪の場合はポンプそのものの寿命を縮める原因になります。
特に、吸込み側の圧力が不足しているときや、流量が不足しているとき、あるいは配管内に空気が混入しているときにキャビテーションが発生しやすくなります。
つまり、異音がする=キャビテーションの可能性がある、ということを現場では早めに見極める必要があります。
どんな音がしたらキャビテーション?|異音の特徴と実例
キャビテーションが起きているときに聞こえる音は、一般的な設備トラブルの中でも比較的特徴的です。
代表的なのが「小豆を洗っているようなシャラシャラ音」や「断続的なバリバリ音」。
場合によっては「ゴボゴボ」と空気が混ざるような音や、「カタカタ」と軽く叩くような金属音として聞こえることもあります。
これらの音は、気泡がポンプ内部で崩壊する衝撃波によって発生しています。
音だけで完全に断定はできませんが
- 「最近急に音が変わった」
- 「以前よりも大きくなった」
- 「機械が振動しているように感じる」
このような変化は、キャビテーション発生の重要なサインです。
- 給湯温度が安定しない
- 再加熱が頻繁になった
- 配管が熱くなりすぎている
このような間接的な変化も、キャビテーションによって熱交換や流量に影響が出ている可能性があります。
音を聞き慣れていない新人設備員であっても、「何かおかしい」と感じる直感は重要です。
異音を放置せず、原因を突き止める第一歩が大切です。
キャビテーションが起こる原因とは?
キャビテーションは、次のような原因で発生します。
1. 吸込み圧力の低下
ポンプの吸込み側の圧力が不足すると、液体が沸騰しやすくなり気泡が発生します。
これは設置高さが高すぎる場合や、配管の曲がりが多い場合、あるいはフィルターの詰まりがある場合などに起こりやすいです。
2. 流量の不足
循環ポンプの能力が不足していたり、目詰まりしていたりすると、十分な流量が得られず、キャビテーションの引き金になります。
特に、たとえば2台運転が前提のポンプを1台で動かしている場合などは要注意です。
3. エアの混入
配管の継ぎ目やバルブの劣化、エア抜きバルブの不具合から空気が混入すると、液体中に気泡ができやすくなり、キャビテーションの原因になります。
ポンプが空転したまま動いているような状態です。
4. 液温の上昇
水の温度が高すぎると、気化しやすくなり、気泡が発生しやすくなります。
特に夜間のアイドリング状態で再加熱が頻繁に起きている現場では、循環水温が高くなりすぎている場合があります。
キャビテーションを放置するとどうなる?|放置リスクと実害
キャビテーションを放置すると、設備全体に深刻な影響を与えるおそれがあります。
まず第一に、ポンプ内部のインペラ(金属製の羽根車)が削られ、異常摩耗が発生します。
この摩耗は目に見えないうちに進行し、ポンプ効率が低下するだけでなく、やがて破損や漏水、振動増大といった明確なトラブルへと発展します。
また、キャビテーションが発生している箇所は、衝撃波によって振動が伝播しやすく、配管や継手部分の金属疲労を早める原因にもなります。
給湯ライン全体の信頼性が下がるため、長期的には大規模な修繕費用が必要になるケースも珍しくありません。
さらに、ポンプモーターが通常よりも高い負荷で回り続けることになり、電力消費の増加や異常発熱、モーター焼損などにもつながります。
「音が気になるけれど、稼働しているから大丈夫」と見過ごしてしまうのは非常に危険です。
異音は設備からの“最初の警告”であると捉え、早めに対処することが、故障予防とコスト削減につながります。
今すぐできる!キャビテーションのチェックポイント
異音がしているからといって、すぐに業者を呼ぶ前に、自分で確認できる項目を押さえておくと安心です。以下のチェックポイントを参考にして、現場の状況を観察してみましょう。
① 異音の発生位置を特定する
異音が「ポンプ本体」から聞こえるのか、それとも「吸込み配管」や「吐出し側」か。音の出どころによって、原因の推定が変わります。配管に耳を近づけると位置がわかりやすくなります。
② 圧力計の値を確認する
吸込み側(負圧)と吐出し側の圧力が極端に低下していないかを確認します。
特に吸込み圧が一定以下になっているとキャビテーションが起きやすくなります。
③ エア抜きバルブの状態を確認する
自動タイプなら動作しているか、手動タイプなら定期的に開放されているか。
エアが溜まっているとポンプに空気が入り込み、キャビテーションが起きやすくなります。
④ ポンプの運転状況を確認する
もともと2台運転が前提の設備が1台で動いていると、流量が足りずにキャビテーションが発生しやすくなります。機器台帳や竣工図を確認して、正常な構成を把握しておきましょう。
⑤ 給湯温度の変動を確認する
循環水の温度が高すぎると、キャビテーションの引き金になります。再加熱頻度が高くなっていないか、温度センサーのズレがないかも併せて確認します。
これらのチェックで異常が見られた場合は、できるだけ早めに対応策を検討しましょう。
キャビテーションを防ぐには?|3つの基本対策
キャビテーションは一度発生すると、時間の経過とともに設備へのダメージが蓄積していきます。
以下の3つの対策を実施することで、現場でのキャビテーションリスクを大きく下げることができます。
① エア混入を防ぐ
- 継ぎ目やフランジの締め付けが緩んでいないかを確認
- エア抜きバルブが正しく設置・動作しているか点検
- 機器更新時には「空気溜まり」になりにくい配管レイアウトにする
空気の混入は、キャビテーションの最も一般的な要因です。
定期的な目視点検とバルブ操作が効果的です。
② 適切な流量・圧力を確保する
- ポンプ能力が適正かどうか、台帳や過去の設計値を確認
- フィルターの詰まり、配管の閉塞などを定期清掃
- 2台運転が前提の設備では、1台運転を長期間続けない
特に「台数を減らして運転している」施設では要注意です。
負荷分散ができない状態はキャビテーションの温床になります。
③ 運転モードの見直し
- 夜間アイドル状態でも高温運転が続いていないかチェック
- 省エネモード・循環制御の見直し(メーカー設定)
- 再加熱の頻度をログで記録し、異常な再加熱を検出する習慣をつける
常に100%の性能を発揮させる必要はありません。
負荷が少ない時間帯は適切に調整することで、キャビテーションだけでなく省エネにもつながります。
異音が止まらないときは、プロによる点検を
ここまで紹介したチェックポイントや対策を試しても異音が続く場合、機器内部で物理的な損傷が進行している可能性があります。
とくに以下のような場合は、早急な点検が必要です:
- 異音が次第に大きくなっている
- ポンプの振動が目立つ
- 圧力計の値が以前と違う
- 給湯温度が安定しない
キャビテーションは“目に見えにくい故障”です。気づかぬうちに、金属が削られ、モーターが焼け、配管の寿命が縮んでいるかもしれません。
「まだ動いているから大丈夫」と放置せず、**異音が出たタイミングを“点検のサイン”**として行動することが、施設の安定稼働と長寿命化につながります。
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