ポンプの交互運転が故障?片肺運転で業務用ボイラーに起きる不調と修理のタイミング

「最近、ポンプの切り替えがうまくいっていない気がする」

「片方のポンプしか動いていないけど、これは大丈夫なのか…?」

そんな疑問に答える記事です。

本来、業務用ボイラーの循環ポンプは2台構成で「交互運転」や「冗長運転」されるのが基本です。

しかし切り替えに不具合があり片方のポンプしか動いていないなら、それは交互運転の故障片肺運転)が起きているかもしれません。

どちらか一方が動かなくなり、もう一方だけで回し続けると、ボイラー本体や給湯・空調設備にも不調が広がっていく可能性があります。

この記事では、ポンプの交互運転が故障することによって何が起きるのか、原因・症状・対策、そして修理すべきか判断するポイントを、現場経験の浅い方にもわかりやすく解説します。

不要な出費やトラブルを避けて、スムーズに対処するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

ポンプの交互運転とは?|冗長運転の基本と仕組み

業務用ボイラーの循環ポンプには、たいてい2台のポンプが備えられています。

これは負荷分散とトラブル時のバックアップ(冗長性)を確保するためです。

「交互運転」とは、文字通り2台のポンプを交互に動かす運転方式です。

たとえば1日ごと・1週間ごとにA→Bと切り替えながら稼働させることで、両方のポンプに均等に稼働時間を割り当て、摩耗を分散させる目的があります。

また、片方が故障したときにも、もう一方のポンプに即時切り替えることで業務を止めずに運用できるという「冗長運転」もこの構成の大きな利点です。

この交互運転は、制御盤のリレーやタイマー回路で自動的に切り替えるよう設定されています。

正常に稼働している限り、ポンプは自動で交互運転が行われていることが多いでしょう。

ポンプの交互運転が故障?|1台だけ稼働を続けると起きること

交互運転が正常に機能していない場合、片方のポンプだけが稼働し続ける「片肺運転」の状態になります。

これは例えるなら、本来は2人で運ぶべき重い荷物を、1人だけでずっと運び続けているようなものです。

この片肺運転が長期間続くと、次のような影響が出てきます。

影響の例詳細
ポンプの過負荷による摩耗本来2台で分散すべき流量を1台でまかなうため、モーターや羽根車に余計な負荷がかかり、ベアリング劣化・軸ズレ・シール破損などを引き起こします。
流量不足による再加熱頻度の増加必要な量の温水が運べなくなるため、熱が逃げやすくなり、ボイラーが頻繁に再加熱を行う状態に。燃料コストや電力使用量が上昇します。
温度ムラや湯切れ、空調の不安定化シャワーや暖房設備への供給温度が不安定になり、クレームや業務効率の低下に直結します。
“もう1台も動かない”事態への連鎖片方のポンプが動かない状態を放置すれば、現在稼働しているポンプもやがて故障し、完全停止→緊急修理→高額出費という悪循環を招きます。

片肺運転は現場でうっかり常態化しやすいものの、不要な不具合を助長するため、放置は避けるべきです。

早期にプロに相談し点検を受けて解決することが、結果的に被害を最小限におさえる賢い対応となります。

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なぜ交互運転は止まるのか?|よくある原因と確認ポイント

ポンプの交互運転がうまく切り替わらない場合、原因は機械の故障だけではありません

意外と見落とされがちな操作ミスや設定ミスも含め、以下のようなポイントが考えられます。

操作ミス・設定ミス(=故障ではないケース)

■ 切替スイッチが「手動モード」のまま

点検や緊急対応後などで「手動」に切り替えたまま戻し忘れていると、交互運転が働きません。

「自動交互運転」に戻し忘れがあると、常に同じポンプだけが動き続ける状態になります。

■ タイマー設定のずれ・未設定

制御盤に組み込まれた交互切替タイマーが正しく設定されていないケースもあります。

交互運転の切替周期や時刻設定がされていない/誤っていることで、実際には切替が発動しないことがあります。

機械的な故障・電気的なトラブル

■ 交互リレーやタイマー回路の故障・接触不良

制御盤内の交互切替リレー(電磁リレー)やタイマー部品が劣化・故障しているケースです。

古い設備ほど、内部リレーの接触劣化による信号不良が発生しやすいです。

設定通りに切替指令が出ず、片方のポンプだけが動き続けてしまいます。

■ 片方のポンプが起動できない状態にある

ポンプ本体や電源系統に異常があると、起動信号は出ていても実際にはポンプが動かない状態になります。

原因としては、モーター焼損/電源ケーブルの断線/ヒューズ切れ/スタートコンデンサの劣化など様々な要因が考えられます。

現場でできるチェック方法

次のようなチェックだけでも、「ただの設定ミス」か「明確な故障」かを切り分ける判断材料になります。

■ 制御盤の運転モード(自動/手動)を確認

制御盤の切替スイッチが「手動」になっていないか確認します。

「自動」に設定されていなければ、交互運転は動作しません。

メンテナンス後や非常時対応の後は、手動のままになっているケースが多く見られます。

■ タイマー設定の有無・周期を確認

制御盤の交互切替タイマーが設定されているか、ONになっているかを確認します。

設定ミスや誤ってOFFになっていると、自動切替が機能しません。

メーカーや型式によって設定方法が異なるため、操作マニュアルがあると確実です。

■ ランプ表示や運転時間メーターの偏りを確認

2台のポンプに運転時間の偏りがないかを確認します。

片方だけが極端に長く稼働している場合、交互運転が正常に行われていないサインです。

■ リレー・タイマーの動作音をチェック

制御盤内部でリレーの“カチッ”という切替音が出ているか確認します。

タイマーが動いていても切替音がしない場合、リレーや接点の劣化が疑われます。

■ 手動でのポンプ切替テストを実施

可能であれば、手動操作でポンプB側が正常に起動するかを確認します。

起動しない/すぐ止まる/異音がある場合は、ポンプ自体の故障(電源・モーター)が疑われます。

ボイラー設備に与える影響とは?|再加熱・騒音・寿命短縮

ポンプが片肺運転の状態になっていると、影響はポンプ単体にとどまりません。

ボイラーシステム全体に波及する問題へとつながっていきます。

再加熱頻度の増加

流量が不足すると、お湯が配管内で冷めやすくなり、ボイラーが頻繁に再加熱を行うようになります。

これにより、

  • 燃料・電力の消費が増加
  • ボイラー本体の運転時間が伸びて熱交換器やバーナーの負担が増す

という負の連鎖が起きます。

温度不安定によるクレーム・業務支障

病院・福祉施設・温浴施設では、給湯温度のわずかな不安定でも入浴中止や衛生管理の支障につながるため、業務上のインパクトが大きいです。

ポンプ本体の寿命短縮

常に100%稼働状態が続くことで、インペラ・モーター・ベアリングが通常より早く消耗し、予期せぬ停止→緊急修理対応を迫られることになります。

1台だけで動かしても「すぐ壊れない」けど…放置すると危険

現場でよく聞くのが、「とりあえず1台動いてるから大丈夫でしょ?」という判断です。

たしかに、ポンプ1台だけでも一定期間は問題なく動くこともあります。

だからこそ、問題が見えにくく、放置されやすいのです。

ですが、目に見えない部分では確実に劣化が進行しています。

  • 再加熱の頻度が増えてきた
  • 吐出圧力が不安定になってきた
  • ポンプの音が以前より大きい気がする

これらはすべて、片肺運転が長引いていることを放置したことによる不具合のサインかもしれません。

しかも、片肺運転が常態化すると、もう1台が故障したときに完全停止→業務不能→緊急修理&高額出費という最悪のシナリオに発展します。

異常に気づいたら、どのタイミングで修理すべき?

「そろそろ点検を頼むべきかな…?」と感じたときが、実は最も正しいタイミングです。

以下のような症状が見られたら、自己判断で運転を続けるよりも、プロの点検を受けるべき段階と考えてください。

  • 交互運転が切り替わらない/一方しか動いていない
  • 再加熱の回数が明らかに増えた
  • ポンプの音が大きくなってきた
  • 制御盤の表示や運転時間が片方に偏っている

設備トラブルは、小さな違和感の段階で対処できるかどうかで、コストも安全性も大きく変わります。

迷ったときは、専門業者に相談するのがもっとも確実な選択です。

給湯・空調が止まる前に、業務用ボイラーのプロへ相談を

業務用ボイラーは、施設のライフラインそのものです。

給湯や暖房が止まれば、利用者対応や業務継続に深刻な影響が出ます。

地元で40年以上の実績を持つ当社では、業務用ポンプやボイラーの点検・修理・部品交換まで一括対応可能です。

制御盤の不具合からポンプ本体の異常まで、現場の状況に即した診断と修復をご提案します。

交互運転が切り替わらない、片肺運転かもしれないと思ったら、お気軽にご相談ください。

現場を見て判断してほしい、急ぎで復旧したいなど、お困りの際も迅速に対応いたします。

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