テラルポンプ「E102」エラー|吐出し圧力低下の原因と対処法|渇水と空気混入に注意!

業務用給水システムやボイラー設備で広く採用されているテラル製ポンプ

運転中に「E102」というエラーコードが表示された

警報発生時はどう対処すれば良い?

ポンプが動かない、水が出ない

そんな症状や疑問に答える記事です。

E102は、1号ポンプ側の吐出圧力異常低下を示す警報で、同内容が2号機で発生した場合は「E202」として表示されます。

このエラーは、水源の枯渇や空気の混入(エア噛み)などが原因で、ポンプが正常に送水できなくなったときに発生します。

放置していると営業や施設運営に支障が出るばかりか、ポンプの焼損など深刻な故障にもつながるおそれがあります。

本記事では、警報発生時の確認方法から、E102の6つの具体的原因と対策までを整理して解説します。

不要な出費やトラブルを避けるためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

エラーコード「E102」|吐き出し圧力低下異常とは

テラルポンプのE102エラーは、「1号機の吐出圧力が異常に低下している」ことを示す警報コードです。

同様の現象が2号機側で発生した場合には「E202」として表示されます。

これらは、複数台制御(1号・2号)を備えたシリーズ機に共通して搭載されている警報で、対象となる主な機種は以下のとおりです。

  • NX-VFCシリーズ(インバータ制御給水ユニット)
  • NX-LATシリーズ(給水ポンプユニット)
  • NX-PCLシリーズ(小型給水ユニット)
  • MC5シリーズ(自動給水システム)

いずれの機種でも、圧力発信器が設定値より低い吐出圧力を検知した場合にE102が発報されます。

一時的な圧力変動ではなく、一定時間異常が継続したときに警報出力される点が特徴です。

E102は単なる「圧力低下」だけでなく、吸込側のエア混入・呼水不足・機械的異常など複数の要因で発生することがあります。

そのため、後述する6つの原因項目を順番に確認することが大切です。

警報発生時の対応|まず確認すべき2つのステップ

テラルポンプでは、異常が発生するとブザーや表示灯により警報を知らせます。

焦ってリセットする前に、表示の意味と手順を正しく理解しておくことが大切です。

警報内容を確認する

トラブル発生時は以下のように警報が出力されます。

  • 操作パネルの異常表示灯が点滅
  • 表示部に警報番号(E102など)が点灯
  • ブザーが発声

ただし、一部の異常ではすぐに警報を出さず、バックアップ運転やリトライを数回行った上でも異常が続く場合に初めて警報が出力されます。

複数のエラーが同時に発生した場合は、2秒ごとに番号を切り替えて順次表示される仕組みとなっています。

このとき、操作盤に表示された番号をメモし、取扱説明書の「警報番号一覧表」で内容を確認しましょう。

出典:テラル「THP5-V-W 型」取扱説明書

テラル公式FAQでも、各エラー番号に対応する原因と対策が公開されています。

トラブルの原因を復旧する

警報内容を確認したら、まずはトラブルの原因を復旧します。(警報のリセットは復旧の後に行います)

E102(1号吐出圧力異常低下)の原因は主に6つあるので、順番に確認しましょう。

E102エラーの原因と復旧

6つの項目を順に確認していけば、E102エラーの約8割は現場対応で復旧可能です。

特に「呼水不足」と「吸込側エア混入」は頻発するため、定期点検時に重点的に確認しておくと再発防止につながります。

① 呼水不足または水が抜け落ちている

現象:
ポンプ内部に空気が入り、吸い上げができずに吐出圧力が上がらない。

原因:
長期間の停止後や、メンテナンス後に呼水が十分でない場合、または吸込ラインの弁から水が抜けてしまうことで発生します。

対策:

  • 呼水をしっかりと行い、ポンプ内部が満水状態であることを確認する。
  • 水が抜け落ちる場合は、吸込配管の継手・弁・接続部を点検して密閉性を確保する。
  • 長期停止設備では、呼水保持弁や逆止弁の作動確認を行う。

💡 呼水が不十分なまま運転を続けると、空運転状態となりメカニカルシールや軸受部を損傷するおそれがあります。

② 吸込配管から空気が混入している

現象:
エア混入によりポンプ内部に気泡が発生し、圧力が安定せず吐出が弱くなる。

原因:
吸込配管のパッキン劣化、Oリングの破損、接続部の緩みなどから空気が入り込む。
特に負圧条件の強い吸込系統では、わずかな隙間からも混入が起こりやすいです。

対策:

  • 吸込配管全体を点検し、接続部の締付け・パッキンの交換を行う。
  • エア抜き弁が設けられている場合は、動作確認を実施。
  • 異音(カラカラ音)や振動がある場合は空気噛みの可能性が高く、早期対応を推奨。

💡 吸込側のエア混入は、見た目では水漏れがなくても発生します。配管の継ぎ手・樹脂管の亀裂なども注意が必要です。

③ TJバルブが閉じている

現象:
圧力発信器部に水が通らず、制御盤が圧力を検出できない。

原因:
点検後にTJバルブ(計測ラインの止水弁)を閉じたまま再運転したケースが多い。
実際には正常な圧力がかかっていても、圧力センサーに水が届かないため「異常低下」と誤認します。

対策:

  • TJバルブの開閉状態を確認し、バルブを開いて通水を確保する。
  • バルブハンドルの向きが「開」になっていることを目視で確認。
  • 併せて圧力発信器の配管詰まりやスケール付着もチェック。

④ 起動設定値がポンプ能力を超えている

現象:
制御盤の設定圧力がポンプの吐出能力を上回っており、起動しても目標圧力に達せず異常停止する。

原因:
制御ユニット交換後や設定調整時に、起動圧・停止圧の設定値が誤って高すぎることが原因。

対策:

  • ポンプ仕様書を確認し、定格吐出圧に見合う設定値に修正(一般的に0.3〜0.5MPaが目安)。
  • 設定値変更後は試運転を行い、圧力計で上昇値を確認。
  • 必要に応じて制御盤内のパラメータも点検する。

💡 設定値が高いまま放置すると、ポンプの連続起動・停止が頻発し、モーター寿命を縮めます。

⑤ ポンプ・電動機の不良、または逆転している

現象:
ポンプが回転していない、または逆方向に回転して吐出できない。

原因:
動力線外れ、電源相順の誤り、モーター内部の焼損、接触不良など。

対策:

  • 動力線(R/S/T)の接続順を確認し、回転方向矢印と一致しているかチェック。
  • 電源断の上で端子の緩みや焼けを点検。
  • 回転時の異音や過熱があれば、すぐに停止してメーカー点検を依頼。

⚠️ 逆回転が続くと羽根車やメカニカルシールの損傷を招き、短期間で重大な故障につながります。

⑥ 吸込配管やポンプ内に異物が詰まっている

現象:
ゴミ・スラッジ・錆などの異物が流路を塞ぎ、吸い上げ不能または圧力低下を引き起こす。

原因:
吸込側ストレーナの目詰まりや、長期間清掃されていない配管内部の堆積物。

対策:

  • 吸込ストレーナ・フィルターを清掃する。
  • 改善しない場合はポンプ分解点検が必要
  • 専門業者またはテラルサービスに連絡し、インペラやケーシング内部の確認を依頼する。

💡 長期使用設備や井水使用ラインでは、異物詰まりが再発しやすいため、定期的な清掃を推奨します。

復旧後の警報リセットの方法

警報のリセットは、原因を復旧した後に行いましょう。

パネル面のリセットボタンを押すことで、異常表示灯の点滅とブザーが解除されます。

出典:テラル「THP5-V-W 型」取扱説明書

リセットの際には、注意点があります。

トラブルの原因を復旧する前にリセットスイッチを押しても無効となり、リセットできません。

発生している警報が複数ある場合は、原因が復旧されたものだけがリセットされます。

そのため、例えば、E102とE202など複数の警報が同時に出ている場合、復旧した警報だけが解除され、残っている異常はそのまま表示されます。

それでも直らないときは?

上記のチェックとリセットを行っても直らない場合、以下のようなポンプ内部の不良が原因の可能性があります。

  • ポンプ内センサー(圧力・流量センサー)の異常
  • モーターの焼損など

このような場合、現場で自力修理するのは困難です。無理に稼働させないことが最も重要です。

空運転状態で運転を続けるとモーターの過熱・焼損が進み、修理費用が数十万円規模になるケースもあります。

症状が再発する、もしくは異音や振動を伴う場合は、早めに専門業者へ点検を依頼しましょう。

修理を依頼する際のポイント

専門業者へ修理を依頼する際は、以下の情報を事前に伝えると対応がスムーズになります。

  • ポンプの型番・製造番号(操作盤や本体に記載)
  • 使用年数(設置後何年経過しているか)
  • 表示されたエラーコードと症状の詳細
  • 直近で行ったメンテナンスの有無

費用の目安:出張診断費5,000〜10,000円前後、部品交換費は部品の種類によって10,000〜30,000円程度が一般的です。

依頼先は「メーカーや販売元に直接依頼する」か「地元の専門業者に依頼する」かの2択があります。

  • メーカーや販売元:安心感があるが、対応まで日数がかかることがある
  • 地元業者:迅速対応が可能で、費用面でも比較的リーズナブル

施設運営に支障が出ている場合は、即日対応できる地元業者を選ぶメリットが大きいでしょう。

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