テラルポンプ「E105」エラーの原因と対処法|フロースイッチ異常の仕組みと復旧ガイド
業務用給水システムやボイラー設備で広く採用されているテラル製ポンプ。
運転中に「E105」というエラーコードが表示された
警報発生時はどう対処すれば良い?
ポンプが動かない、停止を繰り返す
そんな症状や疑問に答える記事です。
E102は、1号機のフロースイッチ異常を示す警報であり、同内容が2号機で起きた場合には「E205」として表示されます。
このフロースイッチは、配管内に実際に水が流れているかを検知するセンサーです。
誤動作や断線、異物噛み込みがあると制御盤が“水が流れていない”と判断して警報を出します。
放置していると営業や施設運営に支障が出るばかりか、ポンプの深刻な故障にもつながるおそれがあります。
本記事では、E105エラーの仕組み、E102の2つの具体的原因と対策、現場で確認すべきポイント、そしてリセット・修理依頼までを順を追って解説します。
不要な出費やトラブルを避けるためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
エラーコードE105|フロースイッチ異常と仕組み
テラルポンプのE105エラーは、「1号フロースイッチ異常」を示す警報コードです。
同様の異常が2号機側で発生した場合は、「E205」として表示されます。
対象となる主な機種は以下のとおりです。
- NX-VFCシリーズ(インバータ制御給水ユニット)
- NX-LATシリーズ(給水ポンプユニット)
- NX-PCLシリーズ(小型給水ユニット)
これらのシリーズでは、ポンプの起動・停止を流量信号(フロースイッチ)と圧力信号の両方で制御しています。
E105は、フロースイッチが「水が流れている」という信号を送らなくなったときに発報される警報で、実際には水が流れていても、スイッチや配線が故障していると制御盤が“異常停止”と誤認します。
通常、フロースイッチは配管内の水の流れによって内部のフロート(またはレバー)が動き、ON/OFF信号を制御盤に送っています。
水が流れているときは「流量あり(ON)」、水が止まると「流量なし(OFF)」の信号が入力され、制御盤はその変化をもとにポンプの運転を判断します。
しかし、フロースイッチやその配線に断線・接触不良・内部故障があると、実際に水が流れていても信号が伝わらず、制御盤が「水流がない」と誤って認識します。
この状態が一定時間続くと、ポンプが停止し、E105(またはE205)の警報が発報されます。
また、一時的なエア噛みやスラッジ(沈殿物)によって、フロースイッチの可動部が動かなくなる場合も同様に警報が出ます。
そのため、電気的な異常(断線)と機械的な異常(異物噛み込み)を切り分けて確認することが、復旧への近道です。
警報発生時の対応|まず確認すべき2つのステップ
テラルポンプでは、異常が発生するとブザーや表示灯により警報を知らせます。
焦ってリセットする前に、表示の意味と手順を正しく理解しておくことが大切です。
警報内容を確認する
まずトラブル発生時は以下のように警報が出力されます。
- 操作パネルの異常表示灯が点滅
- 表示部に警報番号(E105など)が点灯
- ブザーが発声
一見「ポンプが壊れた」と感じるかもしれませんが、E105の多くはフロースイッチ信号の途絶や一時的な誤検知によるものです。
まずは落ち着いて、警報内容と表示番号を確認しましょう。
なお、一部の異常ではすぐに警報を出さず、バックアップ運転やリトライを数回行った上でも異常が続く場合に初めて警報が出力されることもあります。
また、複数のエラーが同時に発生した場合は、2秒ごとに番号を切り替えて順次表示される仕組みとなっています。
このとき、操作盤に表示された番号をメモし、取扱説明書の「警報番号一覧表」で内容を確認しましょう。

テラル公式FAQでも、各エラー番号に対応する原因と対策が公開されています。
トラブルの原因を復旧する
警報内容を確認したら、まずはトラブルの原因を復旧します。(警報のリセットは復旧の後に行います)
E105(1号フロースイッチ異常)の原因は主に2つあるので、順番に確認しましょう。
E105エラーの主な原因と対処法
以下の2つが、E105エラーの主な原因として挙げられています。
① フロースイッチが故障・断線している
現象:
フロースイッチが電気的に反応しない、または断線して信号が制御盤に届かない状態。実際には水が流れていても、スイッチがON信号を返さないため、制御側が「流れがない」と誤認し、E105を発報します。
原因:
- フロースイッチ内部のマイクロスイッチまたはリードスイッチの故障
- 経年劣化による接点摩耗、錆、湿気の影響
- 配線の断線、コネクタの緩み、制御盤入力端子の接触不良
現場での確認ポイント:
- 配線導通をテスタで確認し、信号線に断線がないかをチェックする。
- フロースイッチから制御盤への配線がしっかり接続されているか、端子の緩み・腐食がないかを点検。
- スイッチがON/OFFする際に、制御盤の入力ランプ(またはデジタル表示)に反応があるか確認。
対策:
- フロースイッチの動作が確認できない場合は部品交換が必要です。
- 制御盤側の入力回路(I/O基板)に異常が疑われる場合は、メーカーまたはサービス会社に点検依頼を行います。
💡補足:
フロースイッチは消耗部品の一つで、一般的な交換目安は5〜7年程度です。
経年とともに反応が鈍くなり、E105を断続的に発生させることがあります。
② 異物のかみ込みなどにより正常に動作できない
現象:
フロースイッチ内部のフロート(浮き)やレバーが異物で動かなくなっている状態です。配管内のスラッジ・サビ・ゴミなどがスイッチの可動部に噛み込み、物理的にON/OFFが切り替わらなくなります。
原因:
- 吸込配管やストレーナ清掃不足によるスラッジ混入
- 水質悪化や鉄サビによる固着
- 長期間運転によるスイッチ内部の堆積物蓄積
現場での確認ポイント:
- 配管ラインを停止し、安全を確保したうえでフロースイッチを取り外す。
- スイッチの可動部(レバーやフロート)が軽く動くかどうかを確認。
- 異物・サビ・スケールなどが付着していれば、洗浄または交換を行う。
対策:
- フロースイッチの清掃・交換を行い、再度配管に組み付け。
- ストレーナ・配管内部も同時に清掃し、異物再混入を防ぐ。
- 長期間使用している設備では、水質管理(濁度・鉄分)を見直すことも再発防止につながります。
💡ポイント:
異物噛み込みによる不動作は一時的に回復しても再発することがあります。
根本的な原因(配管内汚れや水質)を改善しないと、再びE105が出るリスクが高いです。
復旧後の警報リセットの方法
警報のリセットは、原因を復旧した後に行いましょう。
パネル面のリセットボタンを押すことで、異常表示灯の点滅とブザーが解除されます。

リセットの際には、注意点があります。
トラブルの原因を復旧する前にリセットスイッチを押しても無効となり、リセットできません。
発生している警報が複数ある場合は、原因が復旧されたものだけがリセットされます。
そのため、例えば、E105とE205など複数の警報が同時に出ている場合、復旧した警報だけが解除され、残っている異常はそのまま表示されます。
それでも直らないときは?
上記「原因確認→復旧→リセット」の流れを実行してもE105が継続している、または以下のような状況がある場合は、制御盤・センサー・ポンプ本体の内部トラブルが疑われます。
- フロースイッチ交換・清掃後にも警報が消えない。
- 再起動直後にE105/E205が再発。
- 異音・振動・過熱が発生している。
- 同時に圧力異常・吐出不能など他警報併発。
このような場合、現場で自力修理するのは困難です。
これらのケースでは、「空運転」を続けること自体がポンプのモーター焼損やシール破損など重大故障につながるリスクがあります。
そのため、無理に稼働させないことが最も重要です。
無理な運転復帰ではなく運転停止→専門業者による点検・修理依頼を速やかに行うことが、被害拡大を防ぐ最良の選択です。
症状が再発する、もしくは異音や振動を伴う場合は、早めに専門業者へ点検を依頼しましょう。
修理を依頼する際のポイント
専門業者へ修理を依頼する際は、以下の情報を事前に伝えると対応がスムーズになります。
- ポンプの型番・製造番号(操作盤や本体に記載)
- 使用年数(設置後何年経過しているか)
- 表示されたエラーコードと症状の詳細
- 直近で行ったメンテナンスの有無
費用の目安:出張診断+点検費用は「5,000〜10,000円前後」がひとつの目安です。軽度の部品交換(フロースイッチなど)の場合は「10,000〜30,000円程度」が一般的な範囲です。
※ただし施設規模・配管条件・深夜対応などにより変動するため、正確な金額は、正式見積もりを依頼し確認するようにしてください。
依頼先は「メーカーや販売元に直接依頼する」か「地元の専門業者に依頼する」かの2択があります。
- メーカーや販売元:安心感があるが、対応まで日数がかかることがある
- 地元業者:迅速対応が可能で、費用面でも比較的リーズナブル
施設運営に支障が出ている場合は、即日対応できる地元業者を選ぶメリットが大きいでしょう。
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