テラルポンプ「E104」エラーの原因と対処法|高温異常の仕組みと復旧ガイド

業務用給水システムやボイラー設備で広く採用されているテラル製ポンプ

運転中に「E104」というエラーコードが表示された

警報発生時はどう対処すれば良い?

ポンプが動かない、停止を繰り返す

そんな症状や疑問に答える記事です。

E104は、1号機側の高温異常を示す警報で、同じ現象が2号機で発生した場合には「E204」として表示されます。

高温異常は、ポンプが正常に冷却されないまま運転を続けたときに起こるトラブルです。

内部の水が循環せず停滞したり、センサーが異常値を検知することで警報が出ます。

放置するとモーターの焼損や軸受けの破損などにつながる恐れがあり、早期対応が不可欠です。

本記事では、警報発生時の確認方法から、E104の5つの具体的原因と対策までを整理して解説します。

不要な出費やトラブルを避けるためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

エラーコード「E104」|高温異常とは

テラルポンプのE104エラーは、「1号機の高温異常」ことを示す警報コードです。

同様の現象が2号機側で発生した場合には「E204」として表示されます。

これらは、複数台制御(1号・2号)を備えたシリーズ機に共通して搭載されている警報で、対象となる主な機種は以下のとおりです。

  • NX-VFCシリーズ(インバータ制御給水ユニット)
  • NX-LATシリーズ(給水ポンプユニット)
  • NX-PCLシリーズ(小型給水ユニット)
  • MC5シリーズ(自動給水システム)

これらのシリーズに共通する特徴は、ポンプ内温度を監視する温度センサーが内蔵されていることです。

運転中に内部温度が設定範囲を超えると、制御盤が異常を検知し、運転を停止してE104警報を発報します。

高温になる要因は、主に「水の流れが途絶え、内部で攪拌熱がこもる」ことです。

水が動かないままポンプが回転し続けると、内部摩擦で水温が上がり、センサーが閾値を超えて警報を出す仕組みになっています。

E104は一見センサー異常にも見えますが、実際はフロースイッチや圧力タンクなど他部品の不具合が根本原因であることが多く、原因を切り分けて確認することが重要です。

警報発生時の対応|まず確認すべき2つのステップ

E104/E204が発報した際は、ブザーと表示灯の点滅により警報が通知されます。

焦ってリセットを押すのではなく、まずは表示内容と発生状況を正確に確認してください。

警報内容を確認する

トラブル発生時は以下のように警報が出力されます。

  • 操作パネルの異常表示灯が点滅
  • 表示部に警報番号(E104など)が点灯
  • ブザーが発声

ただし、一部の異常ではすぐに警報を出さず、バックアップ運転やリトライを数回行った上でも異常が続く場合に初めて警報が出力されます。

複数のエラーが同時に発生した場合は、2秒ごとに番号を切り替えて順次表示される仕組みとなっています。

このとき、操作盤に表示された番号をメモし、取扱説明書の「警報番号一覧表」で内容を確認しましょう。

出典:テラル「THP5-V-W 型」取扱説明書

テラル公式FAQでも、各エラー番号に対応する原因と対策が公開されています。

トラブルの原因を復旧する

警報内容を確認したら、まずはトラブルの原因を復旧します。(警報のリセットは復旧の後に行います)

E104(またはE204)は、単なる温度センサーの誤検知とは限りません。

「水が流れない状態で運転を続けた結果、高温になった」というケースも考えられます。

原因を復旧せずにリセットを押しても警報は解除されず、再発を繰り返す可能性があります。

E104(1号高温異常)の原因は主に5つあるので、次で順番に確認しましょう。

E104エラーの主な原因と対処法

E104(およびE204)は、ポンプ内部の水温が異常に上昇したときに発報される高温警報です。

多くの場合、ポンプが冷却されないまま回転し続ける「空運転状態」や「低流量運転」によって内部に熱がこもることで発生します。

ここでは、公式マニュアルに基づく5つの代表的な原因と対策を解説します。

① フロースイッチの異常で水が流れないまま運転が続いた

現象:
フロースイッチが正常に動作せず、水が流れていないにもかかわらずポンプが停止しない状態。水が循環しないために内部で攪拌熱(かくはんねつ)が発生し、温度センサーが高温を検知してE104を発報。

原因:

  • フロースイッチの断線、接点摩耗、異物噛み込みなどで信号が出ない。
  • 制御盤が「流量あり」と誤認し、空運転が続く。

対策:

  • フロースイッチの導通をテスタで確認。信号が入力されていない場合は交換を実施。
  • スイッチ作動時に制御盤の入力ランプが点灯するか確認。反応がなければ制御側の不良も疑う。
  • 清掃・点検で改善しない場合はメーカーまたはサービス会社へ連絡。

💡 フロースイッチの故障は、E104・E105の両方を引き起こす共通要因です。定期交換(5〜7年目安)で予防できます。

② 漏水や低流量が続き、ポンプ内部に攪拌熱(かくはんねつ)が蓄積した

現象:
水の使用量が極端に少ない状態が長時間続くと、ポンプ内の水が循環せず熱がこもる。特に夜間の微流量や漏水による常時運転時に発生しやすいトラブルです。

攪拌熱(かくはんねつ)とは、ポンプが水をかき回すことで発生する摩擦熱のこと。本来、ポンプは水を循環させることで常に冷却されていますが、漏水や低流量の状態で水を羽根車がかき混ぜ続けると、水温が徐々に上昇します。

原因:

  • 末端機器のバルブ閉塞や、トイレタンク・ウォータークーラー等の微小漏水。
  • 圧力設定が高すぎてポンプが頻繁に起動・停止を繰り返す。

対策:

  • 建物全体の配管漏れ・止水弁開度を点検。
  • 使用頻度が低い施設では、圧力タンクを増設してポンプ停止回数を減らすのも効果的。
  • 漏水箇所を修理し、運転時間が長くならないよう管理する。

💡 微小漏水による“常時小運転”は、高温異常の代表的な原因です。

③ 圧力タンクのダイアフラムが破損している

現象:
圧力タンク内部のゴム製ダイアフラムが破損し、ポンプ停止時の圧力保持ができなくなる。結果、わずかな圧力低下でもポンプが頻繁に起動し、内部の水温が上昇して高温警報が発生します。

原因:

  • 経年劣化によるダイアフラムの破れやエア漏れ。
  • タンク容量不足や充填圧不良による圧力変動。

対策:

  • タンク上部のエアバルブを軽く押して水が出る場合は破損の可能性大
  • ダイアフラム破損時はタンク交換が必要。

💡 タンクが圧力を保持できないと、ポンプが“間欠連続運転”し、高温化しやすくなります。

④ 仕様範囲を超える高温水が流入した

現象:
ポンプの吸込側に、想定以上の温度の水が流入しているケース。特に給湯系や温水回路に接続されているときに発生します。

原因:

  • 配管誤接続(給湯配管からの逆流など)。
  • 熱交換器経由で温水が戻ってくる。

対策:

  • 吸込側の水温を実測。常温水(5〜35℃)の範囲にあるか確認。
  • 逆止弁や混合弁の取り付け方向を確認し、逆流を防止。

💡 高温水の吸込みは一時的に運転できても、モーターやシールを早期損耗させる恐れがあります。

⑤ 温度センサーの故障

現象:
温度センサー(サーミスタ)の断線や誤検知により、実際は正常温度でも制御盤が高温異常を発報する。

原因:

  • センサーリード線の断線、コネクタ接触不良。
  • 経年劣化や湿気による感度低下。
  • 制御基板入力側の不良による誤判定。

対策:

  • 温度センサーの抵抗値を測定し、基準値と比較。
  • ケーブルの導通確認を行い、異常があればセンサー交換を実施。
  • 修理時は制御基板の入力回路(I/O端子)も同時に点検。

💡 センサー異常の診断には専用測定器が必要なため、テラルサービスまたは認定業者への依頼が確実です。

復旧後の警報リセットの方法

警報のリセットは、原因を取り除いた後に行いましょう。

パネル面のリセットボタンを押すことで、異常表示灯の点滅とブザーが解除されます。

出典:テラル「THP5-V-W 型」取扱説明書

リセットの際には、注意点があります。

トラブルの原因を復旧する前にリセットスイッチを押しても無効となり、リセットできません。

発生している警報が複数ある場合は、原因が復旧されたものだけがリセットされます。

そのため、例えば、E102とE202など複数の警報が同時に出ている場合、復旧した警報だけが解除され、残っている異常はそのまま表示されます。

それでも直らないときは?

上記のチェックとリセットを行っても直らない場合、原因が完全には取り除けていない可能性が考えられます。

  • 温度センサーが誤検知している
  • 圧力タンクが内部破損している
  • フロースイッチ信号が断続的に途切れている
  • ポンプ内部に異物(スケールや錆)が堆積している

このように複数の原因が複合的に起きている可能性もあります。

そんな場合は、制御盤の入出力信号を確認し、温度・圧力・流量の各センサーの反応を順に追う必要があります。

このような場合、現場で自力修理するのは困難です。無理に稼働させないことが重要です。

早めに専門業者へ点検を依頼しましょう。

修理を依頼する際のポイント

専門業者へ修理を依頼する際は、以下の情報を事前に伝えると対応がスムーズになります。

  • ポンプの型番・製造番号(操作盤や本体に記載)
  • 使用年数(設置後何年経過しているか)
  • 表示されたエラーコードと症状の詳細
  • 直近で行ったメンテナンスの有無
  • 異常発生時の運転モード(自動/手動)
  • 発生頻度(常時・断続的・特定時間帯のみ)
  • 警報発生直前に行った操作(弁の開閉、清掃、点検など)

費用の目安:出張診断費5,000〜10,000円前後、部品交換費は部品の種類によって10,000〜30,000円程度(圧力タンク交換は30,000〜80,000円前後)が一般的です。

依頼先は「メーカーや販売元に直接依頼する」か「地元の専門業者に依頼する」かの2択があります。

  • メーカーや販売元:安心感があるが、対応まで日数がかかることがある
  • 地元業者:迅速対応が可能で、費用面でも比較的リーズナブル

施設運営に支障が出ている場合は、即日対応できる地元業者を選ぶメリットが大きいでしょう。

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