テラルポンプ「E006」エラーの原因と対処法|起動頻度異常が出たときの確認ポイント
業務用給水システムやボイラー設備で広く採用されているテラル製ポンプ。
運転中に「E006」というエラーコードが表示された
ポンプが止まってもすぐに再び動き出してしまう
短時間でON/OFFを繰り返しているとき、どうすればいい?
そんな症状や疑問に答える記事です。
E006は、ポンプの起動頻度が異常に多くなっていることを示しています。
この異常は、圧力タンクの不具合や漏水、微小な流れの継続によって、ポンプが休めないときに発生します。
放置するとモーターやシールが過熱し、最終的にE104(高温異常)やE102(圧力低下)など別の警報につながることもあります。
本記事では、警報発生時の確認方法から、E006の3つの具体的原因と対策までを整理して解説します。
不要な出費やトラブルを避けるためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
エラーコード「E006」|起動頻度異常とは
テラルポンプのE006エラーは、「ポンプの起動と停止を短時間に何度も繰り返している」ことを示す警報コードです。
対象となる主な機種は以下のとおりです。
- NX-VFCシリーズ(インバータ制御給水ユニット)
- NX-LATシリーズ(給水ポンプユニット)
- NX-PCLシリーズ(小型給水ユニット)
- MC5シリーズ(自動給水システム)
これらの機種は、内部圧力センサーと運転回数カウンタによって、ポンプの動作パターンを常時監視しています。
常時監視する中で、短時間に繰り返し起動と停止を行う異常な運転パターンを制御盤が検知すると、「起動頻度が異常」と判断し、E006警報を発報して自動的に運転を停止します。
このようなエラーが起きたら、後述する3つの原因項目を順番に確認することが大切です。
警報発生時の対応|まず確認すべき2つのステップ
テラルポンプでは、異常が発生するとブザーや表示灯により警報を知らせます。
焦ってリセットする前に、表示の意味と手順を正しく理解しておくことが大切です。
警報内容を確認する
トラブル発生時は以下のように警報が出力されます。
- 操作パネルの異常表示灯が点滅
- 表示部に警報番号(E006など)が点灯
- ブザーが発声
テラルの制御盤では、すぐに警報を出さずバックアップ運転やリトライを数回行った上で発報する仕組みになっています。
そのため、E006が表示された時点で、制御盤が明確な異常パターンを検出していると考えられます。
また複数のエラーが同時に発生した場合は、2秒ごとに番号を切り替えて順次表示される仕組みとなっています。
そんなときは、操作盤に表示された番号をメモし、取扱説明書の「警報番号一覧表」で内容を確認しましょう。

テラル公式FAQでも、各エラー番号に対応する原因と対策が公開されています。
トラブルの原因を復旧する
警報内容を確認したら、まずはトラブルの原因を復旧します。(警報のリセットは復旧の後に行います)
公式では、E006(起動頻度異常)の原因は主に3つ示されているので、順番に確認しましょう。
E006エラーの原因と対処法
E006(起動頻度異常)は、ポンプが短時間で何度も起動・停止を繰り返している状態で発報されます。
原因の多くは、圧力を保持できない、あるいは圧力を下げ続ける何らかの要因があるときに発生します。
ここでは、テラル公式マニュアルに基づく3つの代表的な原因と、その対処法を解説します。
① 圧力タンクのダイアフラム破損
現象:
ポンプ停止時に圧力を保持できず、わずかな圧力低下でポンプが再起動してしまう。結果として、数十秒〜数分おきにポンプが動くようになり、E006が発生します。
原因:
圧力タンクの内部には、水側と空気側を分けるゴム製のダイアフラム(膜)が入っています。この膜が経年劣化などで破れると、空気が抜けて圧力を蓄えられなくなり、ポンプがすぐに動いてしまいます。
対策:
- タンク上部のエアバルブを軽く押してみて、水が出てくる場合は破損のサイン。
- 破損している場合は修理不可のため、圧力タンクの交換が必要です。
- ダイアフラム破損は、起動頻度異常(E006)だけでなく、高温異常(E104)の原因にもなります。
💡タンクの容量が小さい場合も、ポンプの起動回数が増える要因です。使用環境に合わせて容量を見直すと、E006の予防につながります。
② 漏水・または蛇口の締め忘れによる微小流量の継続
現象:
水が完全に止まっていない状態が続くと、配管の圧力がじわじわと下がり続け、ポンプが「圧力が足りない」と判断して何度も再起動します。使用していないのにポンプが断続的に動く場合は、このパターンの可能性が高いです。
原因:
- トイレタンクやウォータークーラーなど、微小漏水が起こる末端機器
- 配管接続部のシール不良や、ストレーナ目詰まりによる圧力低下
- 圧力設定が高すぎて、わずかな圧力変化でも再起動してしまう制御条件
対策:
- 建物内で「水を使っていないのに圧力計が上下する」箇所を確認。
- 微小漏水は目視では分かりにくいため、床の濡れ・結露・音なども手がかりにする。
- 配管の漏れを修理し、必要に応じて圧力設定の見直しやタンク容量の拡張を検討。
💡夜間や休日など、人がいない時間帯にポンプが動いている場合は、漏水またはタンク不良が関係している可能性が高いです。
③ フロースイッチの誤作動(常に小流量を検出している)
現象:
水が流れていないにもかかわらず、フロースイッチが「流れている」と誤検知することで、ポンプが停止せず運転を続け、頻繁に起動・停止を繰り返す。
原因:
- スイッチ内部への異物混入、スラッジやスケールの噛み込み
- 接点の劣化・断線による誤信号
- 制御基板への入力不良(電気的なノイズや端子ゆるみ)
対策:
- フロースイッチの動作信号をテスタまたは制御盤の入力ランプで確認。
- 清掃や接点復旧で改善しない場合は、フロースイッチの交換が必要です。
- フロースイッチの経年劣化(5〜7年目安)でも誤検知が起きやすくなります。
💡フロースイッチの異常は、E006だけでなくE105(フロースイッチ異常)にも関係します。両方のエラーが発生する場合は、スイッチ本体の点検を優先してください。
復旧後の警報リセットの方法
警報のリセットは、原因を取り除いた後に行いましょう。
パネル面のリセットボタンを押すことで、異常表示灯の点滅とブザーが解除されます。

リセットの際には、注意点があります。
トラブルの原因を復旧する前にリセットスイッチを押しても無効となり、リセットできません。
発生している警報が複数ある場合は、原因が復旧されたものだけがリセットされます。
そのため、例えば、E006とE105など複数の警報が同時に出ている場合、復旧した警報だけが解除され、残っている異常はそのまま表示されます。
それでも直らないときは?
上記のチェックとリセットを行っても直らない場合、原因が完全には取り除けていない可能性が考えられます。
- 圧力タンクの内部破損(ダイアフラム切れ)
- フロースイッチの誤検知や断続的信号切れ
- 配管内のエア噛み・ストレーナ詰まり
- 配管の微小漏水が継続している
これらが単独でなく、複数同時に起きている場合も珍しくありません。
このような場合は、制御盤の入出力信号を確認し、圧力・流量・フロースイッチの反応を順に追う必要があります。
通常、このような確認と点検・修理は、現場での自力修理が難しい領域です。
無理に運転を続けると、モーターの焼損やシール劣化を引き起こすおそれがあります。
このような場合、現場で自力修理するのは困難です。無理に稼働させないことが重要です。
早めに専門業者へ点検を依頼しましょう。
修理を依頼する際のポイント
専門業者へ修理を依頼する際は、以下の情報を事前に伝えると対応がスムーズになります。
- ポンプの型番・製造番号(操作盤や本体に記載)
- 使用年数(設置後何年経過しているか)
- 表示されたエラーコードと症状の詳細
- ポンプの起動間隔(例:数分おき・常時ONなど)
- 圧力計の動きや異音の有無
- 最近行った整備内容(タンク交換・弁操作など)
費用の目安:出張診断費5,000〜10,000円前後、部品交換費は部品の種類によって10,000〜30,000円程度(圧力タンク交換は30,000〜80,000円前後)が一般的です。
依頼先は「メーカーや販売元に直接依頼する」か「地元の専門業者に依頼する」かの2択があります。
- メーカーや販売元:安心感があるが、対応まで日数がかかることがある
- 地元業者:迅速対応が可能で、費用面でも比較的リーズナブル
施設運営に支障が出ている場合は、即日対応できる地元業者を選ぶメリットが大きいでしょう。
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