給水ポンプのフロースイッチとは?役割・故障症状・交換が必要なサイン
「給水ポンプのフロースイッチって、何をしている部品?」
「フロースイッチが原因だと、どんな症状が出るの?」
「修理で済むのか、それとも交換が必要なの?」
そんな疑問に答える記事です。
給水ポンプが動かない、突然止まる、エラーが出る──
そんなトラブルが起きたとき、原因のひとつとしてよく挙げられるのが フロースイッチ です。
点検や修理の場面で
「フロースイッチの異常かもしれません」
と言われても、どんな役割の部品なのか、どの程度の不具合なのか が分からないままでは、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
実はフロースイッチは、給水ポンプが 安全に・正常に動くための重要なセンサー部品 で、異常が起きると「ポンプが止まる」「動かない」といった症状に直結します。
一方で、清掃や調整で済むケース と交換が必要なケース があるのも事実です。
この記事では、給水ポンプのフロースイッチとは何かを、設備に詳しくない建物管理者の方でも分かるように、順を追って解説していきます。
「すぐに交換と言われたけど、本当に必要なのか判断したい」
そんなときの 判断材料 として、ぜひ参考にしてください。
- 給水ポンプのフロースイッチとは何か
- フロースイッチの役割と仕組み
- 故障すると現れる代表的な症状
- 交換が必要かどうか判断するポイント
給水ポンプのフロースイッチとは何か
給水ポンプのフロースイッチとは、その名のとおり「水が流れているかどうか」を検知するための部品です。
給水ポンプは「水を送る必要があるときだけ動く」「必要ない状態では動かない」という制御がとても重要です。
その判断材料のひとつになっているのが、フロースイッチです。
フロースイッチは「水の流れ」を検知する
フロースイッチは、配管の途中などに取り付けられ、実際に水が流れているかどうかを物理的に検知します。
- 水が流れている →「流れている」という信号を出す
- 水が流れていない →「流れていない」という信号を出す
この信号が制御盤に送られ、「ポンプを動かす」「ポンプを止める」といった判断に使われます。
よく混同されやすいものに圧力センサーがありますが、
- 圧力センサー:圧力の強さを見る
- フロースイッチ:水が流れている“有無”を見る
という違いがあります。
フロースイッチの役割|インバーター・制御盤との関係
給水ポンプは、常に全力で回り続ける設備ではありません。
- 水を使う人がいるとき
- 給水が必要なとき
だけ、適切に動く必要があります。
フロースイッチがあることで、
- 水の流れを検知 → ポンプ運転を許可
- 流れが止まる → ポンプ停止
という自然で安全な制御が可能になります。
「必要なときだけ動く」これを実現するために、フロースイッチは他の部品と連携してポンプ全体の動きを担います。
インバーター・制御盤とフロースイッチとの連携
最近の給水ポンプでは、
- フロースイッチ
- 圧力センサー
- インバーター
- 制御基板
といった複数の部品が連携して動いています。
その中でフロースイッチは、「今、水は実際に流れているか?」という現場情報を伝える役割を担っています。
イメージとしては、
フロースイッチで現場情報を検知
→ 制御盤が判断
→ インバーターが回転数を制御
→ ポンプが動く/止まる
このような流れです。
つまりフロースイッチは、単体で動く部品ではなく、給水ポンプ全体の制御を支える重要なセンサーのひとつだと言えます。
フロースイッチ異常で起きる代表的な症状
給水ポンプのフロースイッチに異常が起きると、「完全に止まる」というよりも、一見すると分かりにくい不調として現れることが多いのが特徴です。
現場でよく見られる代表的な症状を整理します。
ポンプが動いたり止まったりを繰り返す
フロースイッチが誤作動すると、
- 水を使っていないのにポンプが起動する
- 少し動いてはすぐ止まる
- 不規則なタイミングで運転する
といった動きをすることがあります。
これは、実際の水の流れと、フロースイッチの検知結果がズレている状態です。
管理者の方からは「最近ポンプが落ち着かない」と表現されることも多い症状です。
水を使っていないのにポンプが動き続ける
フロースイッチが「流れている」と誤認すると、
- 蛇口を閉めている
- 使用設備が止まっている
にもかかわらず、ポンプが運転を続けることがあります。
給水ポンプの配管は基本的に満水状態ですが、水が流れていない状態での連続運転は非常に危険です。
水の循環が起きないため、 空運転に近いダメージ を受けることがあります。
給水ポンプの場合、配管は基本的に満水です。
そのため、
井戸ポンプのような「空気しかない完全な空運転」
とは状況が異なります。
ただし、フロースイッチが故障すると、
- 水はあるが流れない
- 循環が起きない
- 冷却・潤滑が成立しない
という 危険な運転状態 が発生します。
現場ではこの状態を、
- 閉止運転
- デッドヘッド運転
と呼ぶこともありますが、結果として空運転と同じ壊れ方をするため注意が必要です。
水圧が安定しない・急に弱くなる
フロースイッチの異常は、水圧の不安定さとして現れることもあります。
- シャワーの勢いが急に弱くなる
- 圧力が上がったり下がったりする
- 使用量に対してポンプの反応が遅い
この場合、原因はポンプ本体ではなく、「水の流れを正しく検知できていない制御側」にあるケースが少なくありません。
メカニカルシールから水漏れが起きる
フロースイッチ異常を放置すると、最終的に メカニカルシールの劣化・破損につながることがあります。
原因は、
- 流れのない状態での運転
- 冷却・潤滑不足
- 内部温度の上昇
です。
この段階になると、
- ポンプ下部からの水漏れ
- 異音
- 運転停止
といった、明確なトラブルとして表面化します。
フロースイッチ異常が疑われたときの確認ポイント
フロースイッチに異常が出た場合、すぐに交換が必要なケースと、清掃や調整で改善するケースの両方があります。
まずは、次のポイントを順番に確認してみてください。
一時的な不調か?(清掃・調整で済む可能性があるケース)
次のような状況であれば、フロースイッチ内部の汚れや引っかかりが原因の可能性があります。
- ポンプの動きがおかしいが、毎回ではない
- しばらく使っていなかった後に症状が出た
- 使用量が少ないときだけ誤作動する
この場合、
- 配管内のサビ・スケール
- ゴミの噛み込み
- 可動部の動作不良
などによって、「水は流れているのに、正しく検知できていない」状態になっていることがあります。
この段階であれば、フロースイッチの清掃や位置調整だけで改善するケースもあります。
症状が継続・悪化していないか?(交換を検討すべきケース)
次のような状態が続いている場合は、フロースイッチ本体の劣化・故障を疑います。
- 水を使っていないのにポンプが頻繁に動く
- 逆に、水を使ってもポンプが反応しない
- 清掃しても症状が変わらない
- 同じエラーや異常動作を繰り返す
これは、
- 内部スイッチの摩耗
- 接点不良
- センサー部の故障
など、部品としての寿命が原因であることが多いです。
この場合は、調整では改善せず、交換が必要になるケースがほとんどです。
制御盤の表示・エラーが出ていないか?
フロースイッチの異常は、制御盤に以下のような形で現れることがあります。
- 「流量異常」「運転不可」などの表示
- ポンプ起動条件が成立しない
- インバーターが保護停止する
このような場合、フロースイッチ単体だけでなく、制御側との信号不一致が起きている可能性があります。
ここまで来ると、専門業者による点検・切り分けが必要な段階です。
実際のエラー表示例については、以下の記事で詳しく解説しています。
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フロースイッチの異常は、
- 気づきにくい
- 放置すると被害が広がる
- 原因の切り分けが難しい
という特徴があります。
「ポンプが古いから仕方ない」と思っていた症状が、実はフロースイッチの不具合だけだったというケースも珍しくありません。
弊社では、
- 給水ポンプのフロースイッチ点検・交換
- 給水ユニットの制御異常診断
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- マンション・クリニック・中規模施設の給水設備点検
など、給水設備全般に対応しています。
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