マンションで水が出ない原因は給水ポンプ?故障のサインとやってはいけない対応
マンションの水が出ないと、入居者から問い合わせが来た。
「全戸で水が出ないのか、それとも一部だけなのか」
「断水なのか、もしかして給水ポンプの故障なのか」
このような場面で対応を求められたときに、どう切り分け、どう判断すべきかに答える記事です。
給水ポンプが原因の場合、水が出ない・出にくいといった症状の出方には、いくつかの共通した代表的なサインがあります。
この記事では、
・マンションで水が出なくなる主な原因
・給水ポンプ故障の代表的なサイン
・管理組合/管理会社がやってはいけない対応
・どこまで自分たちで確認してよいのか、どこから専門業者に任せるべきか
などを、分かりやすく解説します。
「すぐに修理を手配すべき状況なのか」
「まずは状況確認で足りるのか」
落ち着いて判断するための材料として、ぜひ参考にしてください。
- まず確認すべき最初の切り分けポイント
- 入居者から問い合わせが来たら聞いておくべき情報と質問例
- マンションで水が出なくなる主な原因一覧
- 給水ポンプが原因の場合に見られる代表的な故障サイン
- 初期段階でやってはいけない対応
- 自分たちで確認してよい範囲
- 専門業者に相談すべきタイミングと判断基準
まず確認すべきは「全戸か一部か」|最初の切り分けポイント
マンションで水が出ないという連絡が入ったとき、最初に確認すべきなのは 「全戸で起きているのか、それとも一部の住戸だけなのか」 です。
この切り分けによって、給水ポンプが原因の可能性があるかどうか を大きく絞り込むことができます。
全戸で水が出ない場合に考えられる原因
複数の住戸、あるいは全戸で同時に水が出ない場合は、建物全体に関わる設備トラブルが疑われます。
主に考えられるのは、次のようなケースです。
- 断水や水道工事など、水道側のトラブル
- 受水槽・高置水槽まわりの不具合
- 給水ポンプの停止・故障
- 電気設備トラブルによるポンプ停止
この中でも、断水情報が出ていない/工事予定もないにもかかわらず全戸で水が出ない場合は、給水ポンプに何らかの異常が起きている可能性が高くなります。
逆に言えば、この時点ではまだ「給水ポンプ故障」と断定する必要はありません。
まずは 建物全体で起きている現象かどうか を把握することが重要です。
一部の住戸だけ水が出ない場合に考えられる原因
一方で、「特定の部屋だけ水が出ない」「上の階だけ水が弱い・出ない」といった場合は、原因の考え方が変わります。
このケースで多いのは、
- 室内側の止水栓・給水管のトラブル
- 個別配管やバルブの不具合
- 給水方式の違いによる影響(上階のみなど)
など、建物全体の給水ポンプ以外が原因であることも少なくありません。
もちろん、「上階だけ水が出ない」といった症状の場合は給水ポンプの能力低下や不具合が関係しているケースもありますが、全戸停止と比べると、緊急度や原因の方向性は異なります。
ここで大切なのは、一部の住戸=すぐに給水ポンプ故障と決めつけないことです。
入居者から問い合わせが来たら聞いておくべき質問例
- どのお部屋で起きていますか?→ 号室・階数を確認(全戸か一部かの切り分け)
- 他の部屋でも同じ症状は出ていますか?→ 建物全体か、個別トラブルかを判断
- 水はまったく出ませんか?それとも弱いですか?→ 完全停止か、能力低下かを確認
- いつ頃から症状が出ていますか?→ 一時的か、継続的かの判断材料
- お湯だけ出ないですか?水も出ませんか?→ 給湯設備か、給水設備かの切り分け
この5点の情報が聞けていれば、給水ポンプの可能性があるかどうか・すぐ業者を呼ぶべきかどうか、を冷静に判断できます。
マンションで水が出なくなる主な原因一覧
ここでは、マンション全体・一部で水が出なくなるときに考えられる主な原因を、設備ごとに整理します。
断水・工事・水道側の外部トラブル
まず確認したいのが、建物の外側(水道側)で起きているトラブルです。
- 水道局による緊急断水・工事
- 近隣工事による一時的な断水
- 水道本管側のトラブル
この場合、給水ポンプや建物設備には問題がなく、外部要因で一時的に水が止まっているだけというケースもあります。
そのため、管理会社・管理組合としては、最初に断水情報や工事情報を確認することが基本となります。
給水設備(受水槽・高置水槽)の問題
マンションによっては、受水槽や高置水槽を使った給水方式が採用されています。
この場合、
- 受水槽の水位低下
- 水槽内のトラブル
- センサーや付帯設備の不具合
などが原因で、水が供給されなくなることがあります。
見た目の症状は「水が出ない」「出にくい」ため、給水ポンプの故障と勘違いされやすいポイントです。
給水ポンプの不具合
給水ポンプが原因の場合は、
- ポンプが停止している
- ポンプの能力が低下している
- ポンプの制御装置が正常に動作していない
といった状態が考えられます。
ただし、他の原因を除外したうえで判断することが重要です。
断水や給水設備(受水槽・高置水槽)の可能性を除外してもなお全戸で水が出ない/上階だけ出ないといった症状が出ている場合は、給水ポンプに何らかの異常が起きている可能性が高くなります。
建物内配管・バルブの問題
一部の住戸だけで水が出ない場合は、建物内の配管やバルブが原因となっているケースがあります。
- バルブが閉まっている、または不具合がある
- 配管内の詰まりや劣化
- 個別設備まわりのトラブル
この場合、建物全体の給水ポンプを点検・交換しても、根本的な解決にはなりません。
給水ポンプが原因の場合に見られる代表的な故障サイン
マンションで水が出ない・出にくい状況が発生しているとき、原因が給水ポンプにある場合には、給水方式やポンプの種類に応じた特徴的な故障サインが現れます。
マンションの給水方式とポンプの関係は、主に次の整理になります。
- 高架水槽方式:
揚水ポンプ(受水槽 → 高架水槽へ汲み上げ) - 受水槽方式(直圧でない方式):
揚水ポンプや加圧ポンプを併用するケース - 直結増圧方式:
増圧ポンプ・加圧ポンプで直接各住戸へ給水
これを踏まえたうえで、現場で見られやすい代表的な故障サインを整理します。
全戸で水が出ない/極端に水圧が低下している
※主に直結増圧方式(増圧ポンプ・加圧ポンプ)で起きやすい
直結増圧方式のマンションでは、給水ポンプが水を押し出す役割を担っているため、ポンプが停止すると建物全体で水が出ないなどの影響が出やすいです。
- 全戸で同時に水が出なくなった
- 蛇口をひねっても水がまったく出ない
- 以前と比べて極端に水圧が落ちている
断水や工事情報がないにもかかわらずこの状態が発生している場合、増圧ポンプ・加圧ポンプ本体や制御装置の異常が疑われます。(ただし、水道本管の圧力が十分にある場合は、一部の住戸で給水が続くケースもあります。実際の影響は、建物の条件や水道圧によって異なります)
一方で、高架水槽方式の場合は、水槽内に水が残っていればすぐに断水状態にならないため、「突然全戸で水が止まる」という症状は比較的起きにくい傾向があります。ただし、この方式であっても揚水ポンプに異常がある場合、水槽内の水が尽きると原則として全戸に影響が出ます。
水が出たり出なかったりする/上階だけ水が弱い・出ない
※主に増圧ポンプ・加圧ポンプの能力低下時に多い
水が完全に止まるわけではなく、使用状況によって症状が変わる場合も、給水ポンプ不具合のサインです。
- 朝夕など使用量が多い時間帯だけ水圧が下がる
- 水が出るときと出ないときがある
- しばらく待つと一時的に回復する
これは、増圧ポンプ・加圧ポンプの能力低下や制御系の不具合により、必要な水圧を安定して供給できていない状態で起きやすい症状です。
直結増圧方式・受水槽方式のどちらでも見られますが、特に直結増圧方式では、症状が顕著に現れやすくなります。
なお、高架水槽方式の場合でも、高架水槽の水位が低下していると、上階から水圧が弱くなることがあります。
給水ポンプまわりが濡れている・水漏れしている
※全ての給水方式で共通して注意すべきサイン
給水ポンプ室や設備まわりで、目に見える異変がある場合は、方式に関わらず注意が必要です。
- ポンプ本体や周囲が常に濡れている
- 配管のつなぎ目から水がにじんでいる
- 床に水たまりができている
これらは、パッキンや部品の劣化、内部トラブルが進行しているサインであり、放置すると突然の停止や二次被害につながることがあります。
異音・振動・警報ランプが出ている
※増圧ポンプ・加圧ポンプ・揚水ポンプすべてに共通して注意すべきサイン
水の症状とあわせて、ポンプそのものに異変が出ている場合も重要な故障サインです。
- 「ゴー」「ガタガタ」など、普段と違う音がして、うるさい
- 振動が大きくなっている
- 制御盤の警報ランプが点灯・点滅している
これは、ポンプや制御装置が異常を検知している状態であり、無理に操作を続けると故障を悪化させる可能性があります。
初期段階でやってはいけない対応(管理組合・管理会社向け)
受水槽や制御盤を勝手に触る
給水設備まわりは、専門知識がない状態で触ると、かえって状況を悪化させてしまう可能性があります。
- バルブやスイッチを自己判断で操作する
- 制御盤の設定を変更してしまう
こうした行為は、故障の拡大や安全装置の誤作動につながる恐れがあります。
給水設備の知識や経験があるならいいですが、自信がない場合は「触らない」ことも、重要な判断の一つです。
何社も同時に業者を呼ぶ
原因が特定できていない段階で、複数の業者に同時連絡してしまうと、
- 現場が混乱する
- 業者ごとに判断が分かれ、結論が出にくくなる
- 説明内容が食い違い、入居者対応が難しくなる
といった問題が起こりやすくなります。
まずは状況整理をしたうえで、1社に相談することが、結果的に早い解決につながります。
いつも連絡を取り合ったり、信頼関係がある取引先の専門業者がいれば、迷わずそちらに連絡しましょう。
入居者に断定的な説明をしてしまう
状況が確定していない段階で、「しばらく水は使えません」などの断定的な説明をしてしまうと、後から説明が変わった際に、不信感やクレームにつながる可能性があります。
この段階では、「現在確認中です」「原因を切り分けて調査している段階です」といった、慎重な表現を心がけることが大切です。
自分たちで確認してよい範囲(管理組合・管理会社向け)
管理盤の表示ランプ・警報の有無
制御盤や管理盤については、表示を確認するだけであれば問題ありません。
- 警報ランプが点灯・点滅していないか
- エラー表示が出ていないか
ただし、設定変更やリセット操作は行わず、見たままの状態を記録するに留めましょう。
断水情報・工事情報の確認
水道局や管理会社からの案内など、外部要因による断水がないかを確認します。
- 緊急断水の情報
- 近隣工事による影響
これだけでも、給水ポンプ故障の可能性を大きく切り分けることができます。
全戸/一部の状況整理
入居者からの問い合わせ内容を整理し、
- 全戸で起きているのか
- 一部の住戸だけなのか
を明確にしておくことが重要です。
この情報は、業者に状況を説明する際の重要な判断材料になります。
記録しておくべき情報(時間・症状)
後の対応をスムーズにするため、次のような情報は記録しておくと役立ちます。
- 症状が出始めた時間
- 水が出ないのか、水圧が弱いのか
- 時間帯による変化の有無
これらを整理しておくだけで、業者とのやり取りや原因特定が格段に進みやすくなります。
専門業者に相談すべきタイミングと判断基準
すぐに業者を呼ぶべきケース
次のような状況に当てはまる場合は、できるだけ早く専門業者に相談することをおすすめします。
- 全戸で水が出ない、または極端に水圧が低下している
- 上階を中心に、水が出ない状態が継続している
- 給水ポンプから異音・振動が出ている
- ポンプまわりで水漏れが確認できる
- 制御盤で警報ランプやエラー表示が出ている
これらは、給水ポンプや関連設備に明確な異常が出ている可能性が高く、放置すると復旧までに時間がかかるケースもあります。
緊急性が低いケース
一方で、次のような場合は、落ち着いて状況を見極める余地があるケースもあります。
- 一部の住戸だけで症状が出ている
- 一時的に水が出なくなったが、すぐ復旧した
- 断水や外部要因の可能性が高い
この場合でも、同じ症状が繰り返されるようであれば、専門業者に相談する判断材料となります。
専門業者への問い合わせ時に伝えるべき情報
業者に相談する際は、次の情報を整理して伝えると、対応がスムーズになります。
- 建物の給水方式(高架水槽方式/受水槽方式/直結増圧方式)
- 全戸か一部か、症状の出ている範囲
- 水が出ないのか、水圧が弱いのか
- 症状が出始めた時間と継続状況
- 異音・水漏れ・警報表示の有無
これらを共有することで、現地確認や応急対応の判断が早くなり、不要な作業や行き違いを防ぐことができます。
状況整理の段階でもご相談ください
マンションの給水トラブルは、原因を正しく切り分けることが、最短の復旧と不要な工事を防ぐポイントになります。
- 給水ポンプが原因かどうか分からない
- 今すぐ業者を呼ぶべきか迷っている
- いつも連絡を取り合っている、信頼できる取引先がいない
このような状況でお困りの場合は、まずは当社へご相談ください。
建物の給水方式や現在の症状を伺ったうえで、いきなり工事を前提にするのではなく、状況を整理するところから、適切な対応の方向性をご案内します。



