温泉配管の詰まりを招く代表的な4つのスケール|成分別の発生原因と対策・放置リスクを解説

「最近、露天風呂の蛇口のお湯に勢いがない気がする……」

「温泉の配管詰まりは、具体的にどんなふうに起こるのか?」

そんな疑問を解消するための記事です。

温泉配管の詰まりを引き起こす最大の原因は、温泉成分が結晶化して固まった「スケール」です。

温泉水は地下深くでは高温・高圧の状態で多くのミネラルが溶け込んでいますが、地上へ湧出して配管を通る際に温度や圧力が変化することで、溶けきれなくなった成分が石のように硬く析出します。

このスケールを放置すると、配管の直径がどんどん細くなり、最終的にはお湯が全く出なくなる「完全閉塞」を招きます。

厄介なのは、泉質によってスケールの硬さや落としやすさが全く異なる点です。

この記事では、温泉に含まれる成分ごとの特徴や除去の基本的な考え方を解説します。

無駄な出費やトラブルを避けて適切に対処するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

温泉配管が詰まる正体「スケール」とは?4つの成分と発生原因を知る

温泉の配管に詰まりを引き起こす代表的なスケールは主に4つです。

  • 炭酸カルシウム:最も一般的な白い石のような汚れ
  • シリカ:コンクリート並みに硬い最難関の汚れ
  • 鉄・マンガン:赤褐色や黒色に変色する酸化汚れ
  • バイオフィルム:レジオネラ属菌を育てるヌメリの原因

それぞれ具体的に解説していきます。

白い石のような「炭酸カルシウム」

炭酸カルシウムは、多くの温泉地で見られる最もポピュラーなスケールです。

温泉水が配管内を流れる際、圧力が下がることで二酸化炭素が抜けてしまい、カルシウムイオンと炭酸イオンが結合して白い結晶になります。

また、炭酸カルシウムは、温度が高いほど水に溶けにくくなる性質(逆溶解特性)があり、配管の内壁に付着しやすい傾向があります。

最初は薄い膜のような汚れですが、放置すると何層にも重なり、数年で配管の半分以上を埋め尽くすことも珍しくありません。

幸いなことに、炭酸カルシウムは「酸」に溶けやすい性質を持っています。完全に配管が塞がってしまう前であれば、スケール除去剤による化学的洗浄で比較的安価に、かつスムーズに除去することが可能です。

特徴項目炭酸カルシウムの詳細
見た目白色〜灰色の硬い石状
発生原因源泉の圧力低下による脱気(ガス抜け)、温度上昇
除去難易度低(酸性薬剤で溶解可能)

最難関!コンクリートのように硬い「シリカ」

温泉配管の詰まりの中で、最も厄介な存在が「シリカ(二酸化ケイ素)」です。シリカはガラスの原料にもなる成分で、配管の内壁にコンクリートのようにへばりつきます。

シリカスケールは、源泉が冷却される過程で飽和状態になり析出します。一度固まると通常の酸性洗浄剤では全く歯が立ちません。無理に金属の棒やワイヤーで削ろうとすると、逆に配管自体を突き破ってしまうリスクがあります。

もし配管内部に「ガラス状の非常に硬い透明〜白色の塊」が見られる場合は、シリカを疑います。この場合は、フッ化水素などの劇物を含む特殊な薬剤を使用するか、超高圧洗浄による物理的な破壊が必要になります。

特徴項目シリカスケールの詳細
見た目透明〜白色のガラス状
発生原因源泉の冷却・温度低下による析出
除去難易度極めて高い(特殊洗浄が必要)

お湯の色が変わったら疑うべき「鉄・マンガン」

温泉水に含まれる鉄分やマンガンが酸素に触れることで発生するのが、鉄・マンガンスケールです。鉄分が多いとお湯や配管は赤茶色になり、マンガンが多いと黒色に変色します。

これらは「錆(さび)」のイメージに近いですが、配管内部や浴槽に付着しやすいのが特徴です。特に配管内部で泥状に堆積すると、お湯の流れを阻害します。

厄介なのは、鉄やマンガンが配管の金属部分を腐食させ、配管の寿命を大幅に縮めてしまうことです。

また、鉄やマンガンの堆積物は、次に解説する「バイオフィルム(ヌメリ)」と結合しやすく、レジオネラ属菌の増殖を助長する環境を作ってしまいます。

浴槽に茶色い浮遊物(湯の花ではない汚れ)が混じり始めたら、配管内部でかなりの蓄積が進んでいるサインです。

鉄やマンガンも「酸」に溶けやすい性質を持っています。完全に配管が塞がってしまう前であれば、スケール除去剤による化学的洗浄で比較的安価に、かつスムーズに除去することが可能です。

特徴項目鉄・マンガンの詳細
見た目赤茶色(鉄)、黒色(マンガン)
発生原因鉄分やマンガンの酸化による結晶化
除去難易度低(酸性薬剤で溶解可能)

ヌメリの正体は菌の巣!詰まりを招く「バイオフィルム」

厳密には鉱物ではありませんが、温泉配管の詰まりを加速させるのが「バイオフィルム」です。いわゆる「ヌメリ」のことで、細菌が排出した粘着物質が配管の内壁を覆います。

このバイオフィルムは、レジオネラ属菌の格好の隠れ家になります。塩素消毒を行っていても、バイオフィルムの内部まで薬剤が届かず、菌が生き残ってしまうことが多々あります。

さらに、このヌメリにカルシウムやシリカの粒子が絡みつくことで、スケールの成長スピードが劇的に早まります。

循環ろ過方式を採用している施設では特に発生しやすく、週に一度の換水と配管洗浄が法律でも強く推奨されています。「たかがヌメリ」と放置せず、適切な洗浄で宿泊客の安全と施設の信用を守りましょう。

厚生労働省では、週1回の定期洗浄と殺菌消毒(塩素剤・有機系薬品の使用)を推奨しています。

特徴項目バイオフィルムの詳細
見た目茶色〜透明のドロドロしたヌメリ
発生原因皮脂汚れ等による細菌膜、レジオネラ属菌の増殖
除去難易度低(塩素剤・有機系薬品の使用)

温泉配管の詰まりを放置するとどうなる?経営を揺るがす3大リスク

温泉配管の詰まりは、単にお湯の出が悪くなるだけの問題ではありません。

目に見えない配管内部でスケールの堆積がすすむと、ある日突然、数千万円規模の損害や営業停止に追い込まれるケースも少なくありません。

特に深刻なのは、以下の3つのリスクです。

  • レジオネラ属菌の発生による営業停止リスク
  • 熱交換効率の低下による莫大な燃料費の無駄
  • 配管破裂やポンプ故障による突発的な大規模修繕

これらは経営者として絶対に無視できない致命的な問題に直結します。

今のうちに配管の状態を把握し、適切なメンテナンスを行うことが大切です。

信頼が失墜する!レジオネラ属菌の発生と行政処分

配管内部にスケールが蓄積し、そこへバイオフィルム(ヌメリ)が絡みつくと、塩素消毒の効果が及ばない「レジオネラ属菌の温床」が完成してしまいます。

もし保健所の検査でレジオネラ属菌が検出されれば、営業停止や風評被害のリスクもあります。

「掛け流しだから安心」と思っていても、補給管や貯湯槽が汚れていれば同様の危険があるため、油断は禁物です。

日頃からできる対策は、週1回の清掃に加え、専門業者による定期的な清掃除去を実施することです。

  • 週に1回以上は配管内を徹底消毒する
  • 1年に1回は専門業者による生物膜(バイオフィルム)除去を実施する

厚生労働省の「公衆浴場における衛生等管理要領」でも、循環配管内の生物膜除去は義務に近い形で求められています。

ろ過器及び循環配管:1週間に1回以上、ろ過器を十分に逆洗浄して汚れを排出するとともに、ろ過器及び循環配管について、適切な消毒方法で生物膜を除去(注)※1※2

※1消毒方法は、循環配管及び浴槽の材質、腐食状況、生物膜の状況等を考慮して適切な方法を選択すること。消毒方法の留意点は、「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」等を参考にすること。
※2上記措置に加えて、年に1回程度は循環配管内の生物膜の状況を点検し、必要があれば生物膜を除去することが望ましい
引用:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/legionella/030214-1c.html

経営を圧迫!スケール付着による燃料費(重油・ガス代)の増大

配管のスケール放置は、じわじわと燃料コストを押し上げる結果を招くため注意が必要です。

あまり知られていませんが、配管や熱交換器に付着したスケールは、非常に優れた「断熱材」として機能してしまいます。

つまり、ボイラーで温めた熱がお湯に伝わりにくくなるため、設定温度を維持するために余計な燃料を消費し続けることになるのです。

例えば、熱交換器にわずか1mmのスケールが付着するだけで、熱効率は数%〜十数%も低下するとも言われています。仮に月々の燃料費が100万円の施設であれば、毎月数万〜10万円以上の現金をドブに捨てているのと同じ状態といえます。

定期的なスケール除去は、見方を変えれば衛生面だけでなく、燃料効率の向上や寿命の延長にもつながります。

チェックポイント
  • 燃料代が以前より高くなったと感じたら要注意
  • スケール1mmの付着が燃料効率を劇的に下げる
  • 洗浄により熱効率が回復すれば、数ヶ月で洗浄費を回収できることもある

突然の悲劇!配管破裂とポンプ故障による高額修繕

配管内部が詰まって流路が狭くなると、ポンプは通常よりも強い力でお湯を送り出そうとします。これによりポンプに過度な負荷がかかり、寿命が来る前に焼き付きや故障を引き起こします。

実際「ポンプの圧力が異常に高い」という前兆が出た後、すぐに故障したという事例も少なくありません。

さらに恐ろしいのが、圧力に耐えきれなくなった配管の「破裂(脆性破壊)」です。特に老朽化した金属管や、不適切な環境で使用された樹脂管は注意が必要です。

万が一、天井裏や壁の中で配管が破裂すれば、建物全体の修繕工事が必要になり、数百万〜数千万円規模の突発的な出費が発生します。

日常からできる対策としては次のようなことです。

  • 圧力計の数値が基準値より上がっていないか毎日確認する
  • ポンプが異常な異音を立てていないかチェックする
  • 「最近、湯量が減った」は配管破裂の前兆の可能性があると知っておく

不安を感じることがあれば、信頼できる業者に早めに相談しましょう。

なお、高額修繕がかかる設備トラブルの例は以下の通りです。早めに対応することで不要な修繕費を避けることにつながります。

設備トラブル発生する主な原因
ポンプ故障流路閉塞による過負荷
配管の破裂内圧上昇と経年劣化
継ぎ手の漏水振動と圧力による緩み

「突然の営業停止」という最悪の事態を防ぐために。

配管の詰まりやポンプの異変は、施設の心臓部が悲鳴を上げているサインです。

完全閉塞による高額な修繕や、突然の故障による休業に見舞われる前に、プロによる定期的な「健康診断」をおすすめします。

当社は、ボイラーを強みとしており、温泉施設の修繕・点検の実績もございます。

九州エリア(一部除く)なら最短15分で駆けつけ可能。ぜひ一度ご相談ください。

≫ 24時間受付中!LINEでの無料遠隔診断・お問い合わせはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次