ヒートポンプ給湯器・エコキュート・電気温水器の違いは?価格や寿命・メーカーの特徴
ヒートポンプ給湯器、エコキュート、電気温水器は、全てお湯を温める給湯器です。
この記事では、それぞれの機器の違いや、価格や寿命、メーカーの特徴などを詳しく解説します。
ヒートポンプ給湯器・エコキュート・電気温水器の違い
ヒートポンプ給湯器とは
ヒートポンプ給湯器は、日本で販売されている給湯器のなかで、最も省エネ性の高い給湯器です。
ヒートポンプ給湯器の熱効率は300%と言われています。
熱効率300%といわれてもピンと来ないかもしれませんが、これは画期的な省エネ給湯器です。
なぜなら、一般的なガス給湯器の場合、熱効率はどんなに高くても85%〜90%です。
ガスを燃やすと排気ガスの排出にあわせて熱が外へ逃げていき排気熱のロスが生じるため、
機械を動かすのに使ったガス量が1だとすると、作られる熱エネルギーは0.85〜0.9に目減りする
ということが起こります。
しかし、ヒートポンプ給湯器の場合では
機械を動かすのに使った電気量が1だとすると、作られる熱エネルギーはその約3倍の3に増幅される
ということが起こるのです。
なぜ、このようなカラクリが可能なのかというと、ヒートポンプ給湯器の熱生成の仕組みに関係があります。
実は、空気(CO2)は、強い力で圧縮すると、大量の熱を生む性質があります。
ヒートポンプ給湯器では、少ない電気量で機械を回しながら、空気(CO2)を高圧で圧縮することで、そこから大量の熱を取り出す、ということを行っているのです。
この圧縮により取り出される熱エネルギーは、1の電気量に対して、約3倍の3の熱エネルギーになります。
これが、熱効率300%と言われる理由です。
一般的なガス給湯器に比べると、消費するエネルギーは約3分の1まで削減可能と言えるでしょう。
ヒートポンプ給湯器は、2つのユニットで構成されます。
1つ目はヒートポンプユニットです。プロペラで空気を取り込み、圧縮して熱を作り、お湯を沸かします。
2つ目は貯湯タンクです。ヒートポンプユニットで作られたお湯を保温しながら溜めておくタンクです。
ヒートポンプユニットや貯湯ユニットはサイズが大きいため、基本的には屋外の設置スペースが必要です。
ヒートポンプ給湯器とエコキュートの違い
呼称は違いますが、ヒートポンプ給湯器とエコキュートは実質的には同じものです。
どちらもヒートポンプを使ってお湯を沸かし、タンクにお湯を貯める仕組みになっています。
あえて違いを上げるなら、ヒートポンプ給湯器は、業者間で使われる業務用語として馴染みがあります。
一方、エコキュートは一般家庭向けのヒートポンプ給湯器の呼称として広く使われています。
エコキュートの言葉の由来は、環境に優しい「エコ」と給湯の「キュート」から来ています。
最近は、業務用のヒートポンプ給湯器も「業務用エコキュート」と呼ぶことが増えてきました。
それだけエコキュートが日本で普及したということですね。
ヒートポンプ給湯器と電気温水器の違い
ヒートポンプ給湯器も電気温水器も、電気でお湯を作る給湯器です。
しかし、熱効率と熱生成の仕組みが違います。
電気温水器は、タンクに内蔵された電気ヒーターで直接お湯を沸かす給湯器です。
電気温水器は、電気ポットを大きくしたもの、とイメージすると分かりやすいでしょう。
スイッチを入れると電気を流すと、電気のエネルギーを水に伝えて、お湯を沸かします。
残念ながら、電気温水器の熱効率は新品購入時でも100%前後です。
一方、ヒートポンプ給湯器では、ヒートポンプユニットで大量の熱を取り出す給湯器です。
すでにご紹介したとおり、ヒートポンプ給湯器の熱効率は約300%です。
電気温水器は、基本的に電熱ヒーターが内蔵されたタンクのみで構成され、室内置きにも対応しています。
価格は、ヒートポンプ給湯器に比べると安いですが、経年劣化で熱効率が下がりやすく、コスパが悪い給湯器としても知られています。
電気温水器かエコキュートかで迷ったら、間違いなくエコキュートをおすすめします。
ヒートポンプ給湯器の価格・寿命・メーカーの特徴
ヒートポンプ給湯器の種類とメーカーの特徴
ヒートポンプ給湯器は、業務用と家庭用があります。
業務用はホテルや病院・温泉施設・介護施設などの大きな施設で使われるものです。
当然、タンクの大きさ(給湯量)が非常に大きくなります。
一方、私たちが一般的に使用する家庭用は、家族の人数に応じて
- 370L
- 460L
- 560L
の3つの容量があります。
また機能に応じて3種類のタイプがあります。
最もお客さまに選ばれているタイプは、フルオートタイプです。
お湯はり・追い炊き・保温などが全て自動で行えて、さらに配管洗浄などの嬉しい機能も充実しています。
オートタイプは、フルオートタイプに比べると一部の機能が限定されます。
給湯専用タイプは、給湯だけができるシンプルな給湯器です。
機能がシンプルなほど価格は安くなります。
ヒートポンプ給湯器を提供しているメーカーは、主に給湯器専門メーカーと大手家電メーカーです。
給湯器専門メーカーとして有名な会社は
- 長府製作所
- コロナ
大手家電メーカーとして有名な会社は
- 三菱
- パナソニック
- ダイキン
- 日立
- 東芝
などが挙げられます。
各メーカーも独自のお掃除機能や太陽光発電との連携機能などが充実しています。
ヒートポンプ給湯器の価格はカタログの50%程度が相場
ヒートポンプ給湯器の相場は30〜60万円と言われており、タンクの容量や機能の種類によって幅があります。
一般にヒートポンプ給湯器の価格は
- 容量が大きくなるほど
- 機能が充実するほど
値段が上がる傾向があります。
カタログの正規価格は80〜120万円と高額ですが、これは基本的に役所向けに作られた価格です。
役所では、業者から複数の見積もりをとる際に、定価があるものしか使えないという事情があり、メーカー側はそれを加味してカタログで定価(いわゆる入札用単価)を設定しています。
私たち一般市民が購入する場合は、市場の競争によってカタログより、もっと安値で購入できるのが一般的です。
どんな業者でも、だいたいはここから値引きされ、工事費込みでカタログの50%程度の価格になることが多いでしょう。
家族の人数やライフスタイルに合わせて上手に選びましょう。
ヒートポンプ給湯器の寿命は10〜15年
一般に各メーカーは、ヒートポンプ給湯器の耐用年数を10年〜15年としています。
ヒートポンプ給湯器は2001年に登場した給湯器のため、2020年を超えた頃から
本当は20年もつのでは?
といった噂も出始めています。
しかし、20年以上、故障もなく使い続けられることは稀です。
部品によっては寿命が3年〜5年となっているケースもあるので注意が必要です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
電気温水器の価格・寿命・メーカーの特徴
電気温水器の種類とメーカーの特徴
電気温水器には、業務用と家庭用があります。
業務用はホテルや病院・温泉施設・介護施設などの大きな施設で使われるものです。
当然、タンクの大きさ(給湯量)が非常に大きくなります。
一方、私たちが一般的に使用する家庭用は、
- 30Lタイプ
- 50Lタイプ
- 80Lタイプ
- 100Lタイプ
- 120Lタイプ
- 150Lタイプ
- 200Lタイプ
- 370Lタイプ
- 460Lタイプ
など、とても幅広く選べます。
電気温水器はスペースが狭くてもおけるのがメリットです。
主に単身者向けの賃貸物件などに多く採用されています。
ヒートポンプ給湯器と同じく機能に応じて、次の種類があります。
- フルオートタイプ
- オートタイプ
- 給湯専用タイプ
電気温水器を提供しているメーカーには
- TOTO
- LIXIL
- 三菱
- パナソニック
などがあります。
電気温水器の価格
一般的な電気温水器の価格相場は10~25万円程度です。
電気温水器の価格も
- 容量が大きくなるほど
- 機能が充実するほど
値段が上がる傾向があります。
電気温水器の寿命
電気温水器の一般的な平均寿命は10~15年と言われています。
メーカーが基本基準に挙げている説明によると「1日2時間の使用で10年は使用できる」とされています。
電気温水器は、他の給湯器に比べると、湯沸かしの仕組みがとてもシンプルです。
場合によっては20年~30年と寿命が長持ちするケースも珍しくないため『電気温水器は壊れにくい』というお声もよく聞きます。
しかし電気温水器は、年数が経つにつれて、スケールという沈殿物が付着していき、熱効率が悪くなっていきやすく、年式が古いものは電気代が高くなりがちです。
電気温水器の買い替えるときは、ぜひヒートポンプ給湯器(エコキュート)も検討するのがおすすめです。