密閉式ボイラーの圧力計が0を示したら|原因・確認ポイント・相談目安ガイド
密閉式暖房ボイラーの圧力計が「0」になっている…
圧力計の値が0なのは、正常なのか?異常なのか?
運転のON/OFFで、圧力計の数値はどれくらい変動する?
圧力計ゼロは、大きなトラブルの前触れなのか、それとも機器の誤表示なのか。
多くの施設管理者や住宅オーナーは不安ではないでしょうか。
本記事は、このような疑問に答える記事です。
圧力ゼロの原因パターン・現場でできる初期確認・業者に相談すべき目安 をわかりやすく解説します。
圧力計の役割と正しい圧力の目安
密閉式暖房回路の圧力の正常値(適正範囲)
密閉式暖房回路の圧力計には正常値(適正範囲)があります。
お使いの暖房システムの規模や仕様によって適正範囲が異なり、正確に把握するには、お使いの暖房システムの仕様書などを確認する必要があります。
ただし、一般的な小規模施設の場合は概ね0.3~0.5 MPa程度の範囲が正常圧となっていることが多いです。
運転ON・OFF時の圧力の基本挙動
密閉式暖房の場合、運転ON/OFFでわずかな圧力変化(数0.01 MPa程度)が生じます。
密閉式暖房システムでは、運転を開始すると温水の加熱に伴って体積がわずかに増え、圧力は通常より少し上昇します。
逆に、運転を止めて冷えると圧力は少し下がります。
圧力計の設置場所や膨張タンクの位置で見え方に微差はありますが、「運転ONで圧力が上がり、OFFで圧力が下がる」というのが基本挙動です。
運転OFFでも圧力ゼロにはならない
密閉式暖房システムは、冷間時(運転OFF時)も密閉された回路内に一定の圧力(事前に設定された静圧)がかかっています。
そのため、運転OFFだから圧力が「0」になることは正常ではあり得ません。
圧力ゼロは放置せず、冷静に原因確認と対処が必要です。
圧力計が誤作動することもあるため、操作パネルの数値や他の計測値と比較するのも有効です。
- 運転OFFなら圧力計がゼロになることもありますか?
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いいえ、密閉式では運転OFF時も圧力は一定範囲に保たれます。
- ポンプを回すと圧力が少し上がったのですが、普段はゼロです。正常でしょうか?
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密閉式なら停止中も与圧があり、ゼロは正常ではありません。
- 圧力計ゼロでも暖房が効いていれば様子を見て良いですか?
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暖房が効いていても、圧力計がゼロを示す場合は機器異常の可能性があります。
ボイラーの圧力計「0」が意味する可能性とは
密閉式暖房回路のボイラーの圧力計が「0」を示すと、不安を感じるかもしれません。
ここで整理すべきは、圧力計がゼロだからといって、必ずしも回路内の圧力が本当にゼロとは限らない点です。
ボイラーの圧力計が「0」のときに考えられる状況は大きく3つに分けられます。
回路内の圧力が実際に低下している場合
不凍液漏れや膨張タンクのガス圧喪失、補水不足などが起きると、密閉回路全体の圧力が低下し、圧力計ゼロを示すことがあります。
圧力計自体の不良・誤作動
圧力計の経年劣化やセンサー固着、表示部の故障で、実際の圧力は正常でも計器がゼロ表示になっているケースがあります。
特に圧力計はゼロを示しているのに、暖房が正常に効いている場合は、この可能性も疑うべきです。
測定部位の局所的異常
圧力計が取り付けられている部分に空気が溜まっていたり、配管の詰まりや局所的な閉塞があったりすることで、ゼロ表示になる場合もあります。
密閉式回路の圧力は、通常運転中も停止中も大きく変わらず適正範囲(仕様によるが通常は0.3~0.5 MPa程度)に保たれるのが一般的です。ゼロ表示は、いずれにしても「放置はNG」のサインと受け止め、冷静に原因を見極める必要があります。
圧力計0を示す3つの代表的原因
不凍液漏れ・膨張タンク不良などによる実圧低下
不凍液の漏れ等の理由によって、実際に回路内の圧力が低下するケースがあります。
配管接続部、パネルヒーター周辺、床下ジョイント部分に割れ目が生じると、そこから不凍液が少しずつ漏れ出すことで、知らない間に圧力が下がっていきます。
また、膨張タンク内のガス圧が失われると、体積変化の吸収ができず、圧力が安定しなくなります。
膨張タンクは、ダイアフラム(ゴム膜)の劣化や破損、ガス封入バルブのシール不良、長期使用による自然減衰などが原因でガス圧がが失われることがあります。
いずれにしても、圧力低下の原因(漏れ・膨張タンク不良)を特定し、修理とセットで対応していく必要があります。
圧力計自体の故障・誤作動
長年の使用で圧力計の機構が固着し、圧力計が正しい圧を示せなくなることがあります。
操作パネルやモニターにデジタル表示されるタイプの場合、実際にはセンサーの誤動作や接点不良が原因のこともあります。
(このタイプは、圧力センサー(電子変換器)が圧力を電気信号に変換して送信している仕組みのためです。)
暖房が効いているのにゼロ表示のときは、圧力計自体の不良も候補に挙げる必要があります。
測定部位の局所的異常
回路全体の圧力が正常でも、圧力計取付部にエアが溜まったり、汚れやスケールで閉塞したりすると、圧力が正しく伝わらずゼロ表示になってしまうことがあります。
大規模な暖房回路では配管が長く複雑で、高低差や取付位置の影響で局所的なエア溜まり・閉塞が起きやすいため、特に注意が必要です。
現場でできる初期確認のポイント
密閉式ボイラーで圧力計がゼロを示した場合、まず大切なのは 個人の判断で補水やエア抜きといった作業を安易に行わないこと です。
補水やエア抜きは、原因特定や圧力調整、エア量の管理が必要な作業のため、素人が誤った手順で行うと機器損傷や事故のリスクがあります。
ここでは、プロの業者が到着するまでに現場で安全にできる確認や、業者とのやりとりをスムーズにする情報整理のポイントを紹介します。
初期確認の4つのポイント
圧力計・操作パネルの表示を確認
まず、圧力計の現在の表示値と、運転のON/OFFで数値にどのような変化があるかを冷静に観察しましょう。
あわせて操作パネルの画面を確認し、エラーコードや警告ランプが表示されていないかを見ます。
操作パネルに履歴表示機能がある場合は、直近のエラー内容を控えておくと業者への説明に役立ちます。
ポンプや機器の異音・異振動を確認
次に、ボイラーやポンプから普段と違う音や振動が出ていないかを確かめます。
シュルシュルという空気混入音や、高い唸り音、異常な振動は、ポンプの空転やエア噛みの兆候であり、圧力低下に伴う循環不良が進んでいる可能性があります。
パネルヒーター・床暖房の温度チェック
また、暖房の効き具合にも注意を払い、暖房の温まり方を手で触れて確認します。
可能な場合は、温度をチェックしましょう。
部分的に極端な冷えがあったり、全体の立ち上がりが遅い場合は、循環不良の可能性が高いです。
配管・接続部の漏れの目視確認
さらに、ボイラー周辺や配管接続部、床下点検口の範囲を目視で確認し、濡れ跡やしみ、腐食跡、不凍液のにじみなどがないか確認します。
もし目視で漏れを見つけた場合は、場所や漏れ方(にじむ程度か、ぽたぽた垂れるか)を簡単にメモしておくとよいでしょう。
情報整理と業者への伝え方
確認内容は、業者に正確に状況を伝えるために整理しておくと役立ちます。
- 圧力計の表示値
- 操作パネルのエラーや警告の有無
- 確認できた異音・振動の有無
- 暖房の温度ムラの状況
- 目視した漏れの有無と状態
- そして最後に、業者の点検や整備の最終時期
これらを可能な範囲で整理して、伝えましょう。
なお、原因を特定しないまま安易に補水などの調整を行うと、原因特定が難しくなることがあります。
業者が正しい診断・修理を行えるよう、安易な自己処置はせずに、まずは連絡してみるのがおすすめです。
業者依頼の目安|こんなときは迷わず相談を
密閉式暖房ボイラーの圧力計「0」を見かけたとき、「この程度なら様子を見ていいのか、それとも業者に連絡すべきか」の判断に迷うことがあります。
特に小規模施設では、圧力計「0」であっても、暖房が効いているのであれば「運営に大きな支障はないし、しばらく様子を見よう」と感じる方も多いでしょう。
しかし、次のような異変が見られたときは、迷わず業者に相談することをおすすめします。
- 圧力計のゼロ表示が短時間で進行する場合
- ポンプやボイラーから異音・異臭・振動が併発している場合
- パネルや床暖房がほとんど暖まらない場合
- 補水・エア抜き後も圧力が安定しない場合
- 配管や機器のどこかに目視できる漏れ跡がある場合
こうした異変を放置すると、暖房が完全に止まる、さらには部品の損傷が進行し、大掛かりな修理・機器交換が必要になるなど、設備全体へのリスクに直結します。
さらに、修理が必要となった場合も、すぐに部品が手に入るとは限りませんので、迷ったときは「念のため相談する」気持ちで、早めに業者に連絡することが大切です。
結果的に、全体の生活や運営に支障をきたすことなく、安全でコスト負担も抑える対応が可能になります。
当社は密閉式暖房ボイラーの圧力低下診断、現場エア抜き・不凍液補充、点検作業を承っています。
初期診断は無料です。ぜひご相談ください。