給水ポンプの圧力タンクとは?仕組み・役割・水圧低下の原因を初心者向けに解説
「圧力タンクって何のためにあるの?」
「水圧が安定しないのはタンクのせい?」
「ポンプの仕組みや水圧低下の原因がよく分からない…」
そんな疑問を持つ建物管理者さん向けの記事です。
マンションやクリニック、ビルなどに設置されている給水ポンプには、多くの場合 “圧力タンク” と呼ばれる丸いタンクがセットになっています。
普段あまり気にすることはありませんが、実はこのタンクが 水圧の安定 と ポンプの保護 に欠かせない重要な役割を果たしています。
しかし仕組みを知らないと、
- なぜタンクが必要なのか
- タンクが壊れると何が起きるのか
- 水圧低下とどう関係しているのか
といったポイントが分かりづらいまま、「なんとなく不安…」という状態になりがちです。
この記事では、専門用語をできるだけ使わずに、
- 圧力タンクの基本的な仕組み
- 給水ポンプとタンクの関係
- 水圧が弱くなるときのメカニズム
- 初心者が知っておくと安心なポイント
を、わかりやすく解説していきます。
“なぜ必要なのか” を理解できると、給水設備の点検や業者選びが驚くほどスムーズになります。
それでは見ていきましょう。
給水ポンプの圧力タンクとは?初心者向けにわかりやすく
給水ポンプのそばに、丸いタンクが取り付けられているのを見たことはありませんか?
図で見ると分かりやすいでしょう。下図の丸いタンクが「圧力タンク」です。
給水ポンプの一例(テラル公式カタログより抜粋)

名前だけ聞くと難しく感じますが、役割はとてもシンプル。
圧力タンクは“水道の水圧を安定させるためのクッション(緩衝材)” のような役割を持っています。
そもそもマンション・クリニック・ビルなどの建物では
水道本管から来る水だけでは、上層階まで十分な圧力が届かない
そのため給水ポンプが動いて、必要な水圧を作り出しています。
しかし、ポンプは常に全力で回り続けているわけではありません。
- 少量の給水が必要なとき
- 急に水が止まったとき
- 急に多くの水を流したとき
このような様々なタイミングで、流量変動による「圧力の上下」をそのまま配管に伝えると、問題が起きます。
水圧が不安定になったり、ポンプが過剰にON/OFFを繰り返して寿命を縮めたりします。
そこで、圧力タンクがこの圧力の変動をやわらげ、どんな時でも水圧が急に上がったり下がったりしないよう支えてくれるのです。
圧力タンクの内部構造と仕組み
圧力タンクの中は、次のような構造になっています。
- 気層(上半分):圧縮された空気(エアー)
- 液層(下半分):給水圧で押し込まれた水
そして “空気が縮む→水を押し返す” という仕組みで、水圧を一定に保っています。

ポンプが運転すると、水が圧力タンクへ送られます。
そしてタンク内部の「空気のスペース(気層)」をぐっと押し縮めます。
空気は圧縮されると反発力が生まれます。
この反発力が「水を押し出す力」として蓄えられる仕組みです。
また、タンク内の空気は衝撃を吸収するクッションの役割も持ちます。
水の使用開始や停止などで圧力が急に変動しても、配管に大きな負荷がかからないよう圧力を吸収・緩和してくれます。
蛇口を開けたり、シャワーを使ったりすると、配管の水が流れていきます。
このときに水を押し出す力の“主役”になるのが、タンクの中に蓄えられた 空気の反発力 です。
通常、蛇口を急に開けたり閉めたりすると、水圧は一気に変動します。
しかし、空気の力で水を押す ことで、水圧の急な変動を防ぐことができます。
つまり、安定したなめらかな給水が可能になります。
詳細な稼働イメージは荏原製作所の公式チャンネルでも公開されているので参考に見てみてください
空気が押し出すと水圧が安定する
通常、蛇口を急に開けたり閉めたりすると、水圧は一気に変動します。
ですが、圧力タンク内の空気は、
- 水圧が急に下がろうとすると → 空気の力で水を押す
- 水圧が急に上がりそうなとき → 空気が緩衝材として吸収
という動きをするため、水圧が“なめらかに変化”するようコントロールされるのです。
圧力タンクが故障するとどうなる?|典型的な症状
圧力タンクの劣化・故障は、症状がとても分かりやすいです。
以下のいずれかの症状がみられた場合、タンクの不調が原因の可能性が高いです。
水圧が上下する・シャワーが弱くなる
これは圧力タンク故障で最も多い症状です。
- シャワーが弱くなったり強くなったりする
- 水圧が一定しない
- 圧力計の値が上下する
これらの症状はタンク内部の空気が抜けてしまっていることが原因であることが多いです。
ポンプが頻繁にON/OFFを繰り返す(チャタリング)
圧力タンクの中の空気が抜けてしまうと、水圧を支える“クッション”がなくなります。
すると、ポンプが止まった瞬間に水圧がストンと下がり、すぐに再びポンプが起動します。
その結果…
- 短時間でON
- すぐにOFF
- またすぐON
という動きを延々と繰り返す状態になります。これをチャタリングと呼びます。
ポンプは本来、「一定時間運転 → 停止 → 次の運転」というゆるやかなサイクルを前提に設計されています。
ところがチャタリングが起きると、
- モーターに過剰な負荷がかかる
- 電気回路(インバーター・制御盤)が異常熱を帯びる
- 始動電流が何度も流れる
- ベアリングに無理な力がかかる
などが重なり、放置すると、正常運転の比にならないレベルで劣化が進みます。
圧力計の針が安定しない
通常、給水ポンプの圧力計は 一定の数値付近で安定 しています。
ところが圧力タンクに異常があると、この針が
- 小刻みに上下に揺れる
- ゆっくり波のように上下する
- 給水していないのに急に数値が落ちる
といった“波打つ動き”を見せることがあります。
針が揺れるのは軽度な症状に見えますが、実際は以下の前兆です。
- チャタリング(頻繁ON/OFF)の前触れ
- 圧力タンク内部の空気ゼロの可能性
- 逆止弁不良やセンサー異常の可能性
- 早朝・深夜に断水が起きやすくなる
エアー補給してもすぐ抜ける
圧力タンクには、内部の空気量を調整するための エアー補給バルブ がついています。
タンク内部の空気が減ってしまったとき、ここから空気を補充すると一時的に水圧が戻ることがあります。
しかし…
- 空気を入れても数日で元通り弱くなる
- 補給直後は安定するが、すぐに水圧が不安定になる
- 空気を入れても入れても改善しない
という場合は、圧力タンク内部に 構造的な異常 が発生している可能性が高いです。
圧力タンクの不具合が気になる方は、こちらの記事も読んでみてください。
水圧低下のトラブルが起きたら
圧力タンクが原因かどうかの判断ポイント3つ
水圧低下のトラブルが起きたときは、次の「現場で確認すべき3つのポイント」を押さえましょう。
①圧力計の値が正常か
給水ユニットの圧力計は、普段は一定の圧力で安定しています。
次のような動きがあれば、圧力タンク不良の可能性が高いです:
- 針が小刻みに上下する(波打つように揺れる)
- 誰も水を使っていないのに圧力がストンと落ちる
- 圧力が上がってもすぐ下がる
圧力タンク内部の空気が抜けると、“圧力を受け止めるクッション”がなくなり、この揺れがダイレクトに針に現れます。
✔ 圧力計が揺れている → 圧力タンク要点検の合図
②給水ユニットの警告ランプ(エラー表示)が出ていないか
給水ユニットには、インバーター異常ランプ・警告ランプ・エラー番号 が表示されるパネルがあります。
ここに…
- 異常ランプ(赤)🔴
- 警告ランプ(黄)🟠
- 液晶画面のエラー番号(E1 / E2 など)
- 圧力異常ランプ
- インバーター異常ランプ
など出ていないか、見るようにしてください。
ランプやエラーの状態によっては、圧力タンクだけでなく センサーやインバーター側も原因候補 になります。
ただし、初期段階ではエラーが出ず、“圧力不安定だけ”が先に現れることも多いです。
最終的な原因の特定はプロが現場を見てからの判断になるでしょう。
✔ ランプが異常=インバーター・センサー側も疑う
③ ポンプが頻繁にON/OFFしていないか(チャタリング)
圧力タンクの空気が抜けると、圧力が維持できなくなり、やがて圧力が低下します。
そのため、ポンプが休む間もなく ON → OFF → ON → OFF を繰り返すようになります。
これは明確な異常サインです。
- 数秒おきのON/OFF
- 短いサイクルでスイッチング
- 深夜でも頻繁に動き続ける
この状態を放置すると、ポンプ本体の寿命が一気に縮まります。
✔ チャタリングが見られる → 圧力タンク要点検の合図
圧力タンクの不具合が気になる方は、こちらの記事も読んでみてください。
圧力タンクを長持ちさせるためのポイント
圧力タンクは正しく扱えば 10年以上使える部品 です。
しかし、メンテナンスを怠ると、空気が抜けたり内部がサビたりして、数年で故障してしまうこともあります。
- 空気量を維持する(半年〜1年で点検)
- 適正圧で運転する(インバーター設定が重要)
- チャタリングを放置しない(空気抜けのサイン)
日頃から、これらの項目を意識しておくことが大切です。
定期的に“空気量”をチェックする(最重要)
圧力タンクが長持ちするかどうかは、どれだけ空気が抜けずに維持されるか にかかっています。
空気が抜けると:
- 圧力が維持できない
- ポンプが頻繁にON/OFFする
- ポンプ寿命が一気に縮む
などの悪影響が出ます。
裏を返すと、空気が抜けなければタンクは長く使える のです。
そのため、建物管理者がやるべきことはシンプルで、定期的に点検を受けましょう。
- 半年〜1年に1回 が理想
- 給水ユニット点検とセットで確認すると効率的
空気の量を正確に測るには圧力計・エアポンプ・減圧作業などが必要になります。
空気圧チェックは専門業者でないと難しいため、「点検時に必ず確認してもらう」運用がもっとも現実的です。
適正圧で運転する(インバーター設定が重要)
インバーター式の給水ポンプを使っている建物では、設定圧力が高すぎると、圧力タンクに大きな負担がかかります。
タンクは“圧力の上下”を吸収する装置なので、高い圧力で常に押され続けると、
- 空気が抜けやすくなる
- タンクの内部ゴム(ダイヤフラム)が痛む
- 破裂のリスクが上がる
- 劣化が早まる
といった問題が発生しやすくなります。
インバーター設定は“建物に合わせて最適化”しましょう。
- クリニック → 低〜中圧でOK
- マンション → 階数に応じて調整
- 古い配管 → 高圧は避ける
圧力設定を適切に維持することで、タンクとポンプの負担が減り、長持ちさせることにつながります。
古い建物では「設定圧力を低め」にするのが鉄則
築20〜30年を超える建物は配管が弱っていることも多いです。高い圧力で無理に押すと逆効果になることがあるため、低めに設定するほうが良いでしょう。
ポンプのチャタリング(頻繁ON/OFF)を放置しない
圧力タンクが劣化し始めたときに、最初に現れるのが チャタリング(ポンプの頻繁ON/OFF)です。
- すぐ止まる、すぐ動く
- シャワーの勢いが安定しない
- 圧力計の針が小刻みに上下する
こうした症状があれば、かなり危険な状態です。
なぜなら、頻繁なON/OFFは
- モーター
- インバーター基板
- 逆止弁
- タンク
これらすべてに過剰な負担をかけるため、“ポンプもタンクもまとめて壊れる” 最悪のパターン に直結します。
チャタリングを見つけたら、すぐにプロの点検を受けて対処してもらいましょう。
結果的にかかるコストも抑えることができますし、早期修理でポンプ全体を長持ちさせることにつながります。
圧力タンクの交換費用について知りたい方は、こちらの記事を読んでみてください。
九州エリア(一部除く)で迅速対応中!坂口ボイラーへご連絡を
給水ポンプ・圧力タンクのトラブル、交換、メンテナンスは、ぜひ坂口ボイラーへご連絡ください。
わずかな違和感も、実は重大な不具合の前兆かもしれません。
- 水圧が弱い・安定しない
- 圧力タンクの音や結露が気になる
- ポンプの寿命が近づいている気がする
- 交換すべきか、修理で済むか迷っている
そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
専門技術者が状況をお伺いし、最適な対処方法と費用の目安を、丁寧にご案内します。
例)弊社が対応できる内容
- 圧力タンクのチェック・交換
- 給水ユニット全体の点検・更新
- ポンプ・インバーターの修理/交換
- 逆止弁・配管まわりのチェック
- 緊急対応・夜間対応・断水を伴う工事 など
プロの技術者が状況を伺い、最適な対処方法をご案内いたします。
(写真や状況を送っていただくだけでも診断が可能です)



