給水ポンプの交互運転の仕組み|自動制御のメリット・3台ローテーションの考え方を解説

「給水ポンプの交互運転って、どういう仕組み?」

「自動交互運転にすると、どんなメリットがあるの?」

「うちは給水ポンプが3台ついてるけど、どんな動きをするの?」

そんな疑問に答える記事です。

マンションやクリニックなどの建物では、給水ポンプは1台だけで動いているわけではありません。

多くの現場では、複数台のポンプを交互に動かす仕組みが採用されています。

これが「交互運転(自動交互運転)」です。

点検報告書や業者の説明で

「交互運転」「並列運転」「ローテーション」・・

といった言葉を聞いて、正直よく分からないまま「そういうものなんだ」と流してしまう方も多いかもしれません。

しかし実は、これらの仕組みを知っておくだけで、今の動きが正常なのか、本当に修理や交換が必要なのか、がぐっと判断しやすくなります。

この記事では、給水ポンプの交互運転の仕組みを、設備に詳しくない建物管理者の方でも分かるように順を追って、解説していきます。

「業者の説明をそのまま信じていいのか迷っている」

そんなときの判断材料として、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 給水ポンプの交互運転とは何か(基本的な仕組み)
  • 自動交互運転ののメリットと注意点
  • 交互運転と並列運転の違い
  • 交互運転 vs 並列運転の比較表
  • 3台構成(ローテーション運転)の考え方
目次

給水ポンプの交互運転の仕組み

マンションやクリニックなどの建物では、給水ポンプが1台だけで運転しているケースは多くありません。

多くの現場では、2台以上の給水ポンプを組み合わせて運転しています。

その代表的な運転方式が「交互運転」です。

交互運転とは、複数台あるポンプを順番に切り替えながら使う仕組みのことを指します。

ポンプA→ポンプB→ポンプA→ポンプB→・・・

最近の給水設備では、この切り替えは人が操作するのではなく、制御盤やインバーターによって自動的に行われているのが一般的です。

そのため、現場では「交互運転」と呼ばれていても、実際には自動交互運転が使われているケースがほとんどです。

交互運転と並列運転の違い

給水ポンプの運転方式には、「交互運転」とよく似た言葉として「並列運転」があります。

この2つは混同されがちですが、役割と考え方はまったく異なります。

両者の違いをわかりやすく、整理すると次のとおりです。

項目交互運転(自動交互運転)並列運転
運転方法複数台を順番に切り替えて運転複数台を同時に運転
主な目的ポンプの寿命を均等に保つ、断水を防ぐ水量・能力を一時的に増やす
日常運転1台ずつ交互に運転2台以上が同時運転
稼働タイミング常時一時的(大量給水・非常時など必要な時のみ)
管理者の注意点切り替わっていれば正常常時並列は要注意

給水ポンプでは「交互運転」が基本

一方、並列運転は一時的・補助的に使われるケースがほとんどです。

例)

交互運転:ポンプA→ポンプB→A→B→・・・(交互に切り替わる)

並列運転:ポンプAとポンプBが同時に稼働

「2台あるのに、1台しか動いていない」

という状態でも、交互運転なら問題ないことが多い、という点は覚えておくと安心です。

自動交互運転のメリットと注意点

現在の給水設備で採用されている交互運転の多くは、制御盤やインバーターによる自動交互運転です。

自動交互運転の主なメリット

  • 使用時間を均等にでき、ポンプの寿命が偏らない
  • 1台故障しても、もう1台で給水を継続できる
  • 人が操作しなくても、自動で切り替わるため管理が楽

管理者にとっては、「止まらない」「偏らない」「気にしなくていい」という安心感が大きなメリットです。

しかし一方で、自動交互運転だからといって、トラブルが起きないわけではありません。

自動交互運転の主な注意点

  • 片側のポンプだけが動き続ける
  • 切り替わらなくなる
  • エラー表示が出る

こうした場合は、ポンプ本体ではなく、制御部(リレー・制御盤・インバーター)の不具合が原因になっていることも多くあります。

「自動だから大丈夫」と思い込まず、切り替わっているかどうかをときどき確認することが大切です。

循環ポンプの交互運転との違い

「交互運転」という言葉は、給水ポンプだけでなく、循環ポンプ(給湯・空調など)でも使われます。

ただし、給水ポンプと循環ポンプでは、交互運転の目的が異なります。

  • 給水ポンプの交互運転→ 断水を防ぐ・寿命を均等にするため
  • 循環ポンプ→ 温水・冷水の流れを止めないため、運転負荷を分散するため

仕組みは似ていても、役割と判断基準は別物です。

循環ポンプ(ラインポンプ)における交互運転の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。

給水ポンプが3台ある場合のローテーション運転とは

給水ポンプが3台設置されている建物を見ると、

「なぜ3台もあるの?」

「全部同時に動くの?」

「1台止まっているけど大丈夫?」

と不安になる管理者の方も少なくありません。

結論から言うと、3台ある給水ポンプは、ほとんどの場合“ローテーション運転”が前提です。

そして、止まっているポンプがある状態=異常とは限りません。

ここでは、3台構成の基本的な考え方と、「正常な状態」と「注意すべき状態」の違いを整理していきます。

3台構成の基本パターン(よくある運用例)

3台構成の給水ポンプには、様々な運用パターンがあります。

ここではよくある運用例を3つ紹介します。

2台を交互運転し、1台を待機させる方式

A→B→A→B…と切り替え、Cは予備機として待機します。

この方式のメリットと特徴

  • 2台交互(A→B→A→B…)は制御が簡単
  • 1台が完全に故障しても→すぐCが代替できる
  • 管理者・オーナーにとって安心感が大きい

マンションや中規模施設では、この方式が最も多く採用されています。

3台ローテーション型(完全ローテーション)

A→B→C→A…と切り替え、3台すべて均等に稼働します

この方式のメリットと特徴

  • 3台すべてを均等に使える
  • 1台にかかる稼働時間の偏りが最小限

A→B→C のように3台すべてを順番に使うローテーション運転は、比較的新しい給水ユニットや、大規模建物で採用されることがあります。

3台ローテーション+2台並列

3台すべてを使いながら、必要に応じて2台を同時に動かす方式もあります。

例)

A → A+B(並列) → B → B+C(並列) → C → C+A(並列) …

並列運転は、たとえば次のようなケースで使われます

  • 朝の使用ピークなど水量が多い時間帯
  • 給水圧を急激に維持したいタイミング
  • 突発的に複数の蛇口が同時に使われている場合

この運転方式は一見複雑ですが、次のようなメリットや特徴があります

この方式のメリットや特徴

  • 水需要のピークに強い
  • ポンプの寿命を長持ちさせやすい
  • 1台が故障しても、残り2台が即対応できる

ただし、この「3台+並列運転」方式は、制御が高度になるぶん、あえて待機しているポンプがあるため見た目の動きだけでは今の運転状態が分かりにくいという特徴があります。

そのため、動きが正常か異常かの判断は表示ランプだけでなく、制御盤の履歴や運転ログを含めて見ることが大切です。

給水ポンプの交互運転が故障?現場判断と対処の考え方

給水ポンプの交互運転やローテーション運転は、「動きだけを見ると正常か異常か分かりにくい」 のが一番の特徴です。

  • ポンプが止まっている
  • いつもと違う順番で動いている
  • 1台しか動いていないように見える

こうした状態でも、実は正常運転というケースは少なくありません。

ここでは、建物管理者の立場で「これは様子見でいいのか」「業者に相談すべきか」を判断するための考え方を整理します。

これは正常なケース(よくある動き)

次のような状態は、制御上、意図された正常動作であることが多いです。

  • 常に1台だけが動いていて、他は待機している
  • 日によって動くポンプが入れ替わっている
  • 夜間や使用量が少ない時間帯は1台のみ運転
  • 3台構成で、2台が動き1台が止まっている

これらは、

✔ 交互運転
✔ 自動交互運転
✔ 負荷に応じた並列制御

によってポンプの寿命を均等にするための動き(正常)であることが多いです。

注意すべき「異常のサイン」

一方で、次のような状態が続く場合は注意が必要です。

  • いつも同じ1台だけが動き続けている
  • 本来交互のはずなのに切り替わらない
  • ポンプの切替時に異音・振動が出る
  • エラー表示や警告ランプが点灯している
  • 水圧が不安定になったタイミングと、運転切替が重なっている

特に重要なのは、

「交互運転しているはずなのに、切り替わらない」

という状態です。

この場合、原因はポンプ本体ではなく、スイッチ部品・制御基板・インバーターといった制御部 にあることも少なくありません。

交互運転トラブルは「制御部」が原因のことも多い

現場では、

  • ポンプ自体はまだ使える
  • しかし、交互運転の切替がうまくいかない

というケースが少なくありません。

この場合、

  • ポンプ交換が必要なのか
  • 制御部の修理・調整で済むのか

は、運転履歴や制御盤の状態を見ないと判断できません。

見た目の動きだけで「壊れていそう」「全部交換かな」と決めてしまうと、不要な工事になることもあります。

交互運転やローテーション運転は、「知っていれば安心できるが、知らないと不安になりやすい仕組み」です。

  • これが正常なのか分からない
  • 業者の説明が理解できているか不安
  • 修理や交換を勧められたが判断できない

そんなときは、「今の動きが制御上どういう意味を持つのか」を、信頼できるプロの業者に、一度、点検してもらうと安心です。

九州エリア(一部除く)で迅速対応中!坂口ボイラーへご連絡を

給水ポンプは、建物の水を支える重要な設備です。

弊社では、

  • 給水ポンプ(単体・複数台構成)確認
  • 交互運転・自動交互運転の動作確認
  • 3台ローテーション運転の点検
  • インバーター・制御盤の確認
  • 「交換が必要か/まだ使えるか」の判断サポート

など、給水設備全体を見た上でのご提案を行っています。

「今の動きが正常かどうか知りたい」
「業者の説明が正しいのか確認したい」
「修理か交換か、判断材料がほしい」

そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。

▶ 給水ポンプの修理・交換・点検のご相談はこちら

専門技術者がお伺いし、状況整理や最適な対処方法を、丁寧にご案内します。
(写真や状況を送っていただくだけでも診断が可能です)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次