灯油ボイラーの灯油代は月いくら?燃費の良し悪しや導入メリットの判断ポイント

灯油ボイラーの灯油代は1ヶ月いくらかかる?

灯油ボイラーは燃費が良いって本当?

そんな疑問を持ったことはないでしょうか?

以前は、灯油ボイラーは燃費が良いと評判でした。

しかし2023年以降、原油高の高騰がジワジワと家計にも影響を及ぼしています。

場合によっては「別の給湯器の方が良かった!」なんてこともあるかもしれません。

今回は

  • 灯油ボイラーの灯油代は1ヶ月いくらなのか
  • 灯油ボイラーの燃費を計算する方法
  • 灯油ボイラーのメリットや他の給湯器との比較

などをご紹介していきます。

目次

灯油ボイラーの灯油代は1ヶ月いくらなのか

灯油代は1ヶ月あたり6,000円〜8,000円が目安

灯油ボイラーをお使いの場合、給湯にかかる灯油代は1ヶ月あたり6,000円〜8,000円が目安です。

一般的なご家庭であれば、次のようなシミュレーションになっていることが多いでしょう。

  • 1ヶ月の灯油使用量:60〜80L
  • 灯油1Lの値段:約100円〜120円(2023年の傾向)
  • 1ヶ月あたりの灯油代:月6000円〜8000円

灯油ボイラーの燃費を具体的に計算する方法


燃費の良し悪しは灯油の使用量と価格しだい

灯油の価格が安かった時代は、灯油ボイラーは燃費が良いと評判でした。

しかし、近年は原油価格が高騰しているため、思ったほど安くないと感じる方も多いかもしれません。

燃費の良し悪しは、灯油の使用量と価格に依存します。

いま使っている灯油ボイラーの燃費を調べたい場合は

  • 現在使っているお湯の使用量
  • お湯を沸かすのに必要な灯油量
  • 灯油1Lあたりの値段

これらを把握しておかないと、一概には判断できません。

では、具体的にどうやって計算すればよいのでしょうか。

次で「お風呂の追い焚き」にかかる灯油代を例に、具体的な計算方法を説明します。


お風呂の追い焚きに必要な灯油代の計算

湯船1杯分200Lを追い焚きする(20℃加熱する)と、計算上約0.5Lの灯油が必要です。

灯油価格を100円/1Lとすると、約50円の灯油代がかかる計算になります。

必要な灯油量の計算根拠は下のとおりです。

200Lの水を、常温の20℃から40℃に温めたい(20℃加熱する)と仮定してみます。

この場合に必要となる熱量は、下のように3ステップで計算できます。

STEP
200Lのお湯を沸かすのに必要な熱量を計算する

一般に、200Lのお湯を沸かすのに必要な熱量は16,720KJです。

200Lの水を、常温の20℃から40℃に温めたい場合、計算式はこうなります。

必要な熱量(単位KJ)=200kg ✕ 4.18 KJ/kg・℃ ✕ (40℃ー20℃)= 16,720 KJ

※一般的な物理の授業で習う下記の算式に当てはめると算出できます。

必要な熱量(単位はKJ)

=お湯の質量(単位はkg)✕ 比熱容量(単位はKJ/kg・℃)✕ 温度変化(℃)

※一般に、水の比熱容量は約4.18 KJ/kg・℃ とされています。

STEP
灯油ボイラーの熱効率95%の場合に必要な熱量を計算する

灯油ボイラーでは熱効率(つまり排気熱などのロス)を考慮する必要あります。

たとえば、高機能ボイラーのエコフィールの場合、熱効率は95%です。

仮に灯油ボイラーの熱効率を95%としましょう。

この場合、16,720KJの熱エネルギーを利用するには、実際には17,600KJの熱を作る必要があります。

計算式はこちらです。

16,720KJ ÷ 95% = 17,600KJ

STEP
必要な灯油量を算出する

17,600KJの熱を作るために必要な灯油量はいくらなのでしょうか。

一般に、灯油1Lを燃やしたときに作り出せる標準熱量は36,381KJ/1Lとされています。

この標準熱量に当てはめて計算すると、必要な灯油量は約0.5Lです。

17,600KJの熱を作るために必要な灯油の使用量は、次のように計算できます。

17,600KJ ÷ 36,381KJ/L =0.48 L

エコフィールより熱効率が低い灯油ボイラーの場合は、計算上もっと多くの灯油がかかるでしょう。

お湯の使用量と灯油の使用量の目安

4人家族のお湯の使用量は一般に、1日あたり400〜600L程度が目安です。

水温が20℃前後の温暖な地域では1日あたり1〜1.5L(1ヶ月あたり30L〜45L)の灯油を使用することになります。

ただし、寒冷地では水温は低いため、零度近い水を40℃に沸かすとなると、灯油の消費量は計算上2倍になります。

そのため、実際には1ヶ月あたり60L〜80Lが灯油の使用量の目安となってくるでしょう。

日々のお湯の使用量の目安となる項目をピックアップしてみました。

使用シーンお湯の使用量の目安
お湯はり1回180〜200L
シャワー1回30〜100L
※ 風呂と一緒にシャワー利用なら30Lが目安
シャワーだけですませるなら100Lが目安
洗面台所1人あたり30L

まずはご家庭のお湯の使用量をイメージしてみるのがオススメです。

あくまで1つの目安ですが、この表を参考に、1日あたりのお湯の使用量を計算してみてください。

例)父親・母親・小学生2人の4人家族

お湯はり1回=200L
シャワー4回=120L(30L×4回)
洗面台所4人=120L(30L×4回)

合計で440L

実際に個人でシミュレーションしてみると、イメージが湧いてくると思います。


事例:2023年の灯油代の傾向

2023年の傾向としては、灯油代は値上がり傾向にあります。

灯油1Lあたり100円〜120円になっている地域も多いのではないでしょうか。

1990年代の灯油代は1Lあたり30円前後でしたから、現在ではかなり値上がりしているといえます。

灯油の価格は地域や季節によって異なるため一概には言えません。

しかし、エネルギーの需供状況や原油価格の動向次第では、今後もっと灯油代が値上がりする可能性もあります。

燃費の良し悪しは、生活スタイルや使用量を考慮して、個人でシミュレーションしていく必要があります。

灯油ボイラーのメリットは導入コストが安いこと

灯油ボイラーのメリットは導入コストが安いことです。

灯油ボイラーは本体価格がリーズナブルで、設置費用も良心的な値段です。

灯油・ガス・電気の給湯器の導入コスト比較

灯油ボイラーの導入コストは、他のガス給湯器や電気給湯器に比べると比較的安いです。

種類導入コストの目安
灯油ボイラー約10万円〜30万円
ガス給湯器約10万円〜30万円
電気温水器約15万円〜35万円
エコキュート約30万円〜60万円

一般に、最も導入コストを抑えられる給湯器は、灯油ボイラー(石油給湯器)か、ガス給湯器です。

ただし、年間の燃費やランニングコストを考えると、灯油ボイラーの方がおすすめです。

というのも、ガス給湯器は年間のランニングコストが割高だからです。

特にプロパンガスは田舎に行くほど、取扱業者が限られるためか価格競争も限定的で、値段が高めです。

都市ガスであればプロパンガスより価格は安めですが、それでも総合的に見ると灯油の方が割安です。

導入コストと月々のランニングコストとを考えると

  • 灯油ボイラーは導入コストが安め
  • 灯油ボイラーは年間ランニングコストも安め

というメリットがあります。

しかし、長期的に見ると灯油ボイラーよりもランニングコストが安いのはエコキュートです。

灯油ボイラーからエコキュートへ買い替えるメリット

灯油・ガス・電気で比較するとエコキュートが最も有利

給湯器を灯油・ガス・電気で比較すると、エコキュートは最も省エネでランニングコストが安くなります。

たとえば、湯船1杯分200Lを追い焚きする(20℃加熱する)ときの光熱費を比較してみましょう。

種類追い焚き1回あたり
エコキュート35〜55円

※ 価格幅は時間帯別料金制の電気代の違いを考慮しています。
※ 太陽光発電を活用する場合もっと安くなる可能性もあります。
灯油ボイラー50円以上
ガス給湯器100円以上

2022年〜2023年にかけて電気代は高騰しましたが、それでもエコキュートの光熱費は他の給湯器より安めです。

ガス給湯器とエコキュートの追い焚きコストはこちらの記事で詳しく計算しています。

エコキュートへ買い替えるメリット・デメリット

エコキュートは、空気の熱でお湯を暖める給湯器です。

エコキュートの熱効率は約300%となっており、省エネ性能は圧倒的です。

ガスや灯油の給湯器の熱効率はどんなに頑張っても約80〜95%ですから、熱効率の高さは段違いです。

2023年はガス・灯油・電気はどれも値上がり傾向にあり、今後さらに上がっていく可能性もあります。

だからこそ、熱効率が高いことは、今後ますます重視されていくでしょう。

エコキュートの導入コストは高めですが、国をあげて推進を後押ししており、2023年も補助金制度が設けられています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

灯油ボイラーは、導入コストが安く、ランニングコストも比較的安いと言われてきました。

しかし、原油高の影響で、灯油ボイラーの値段も値上がり傾向にあります。

長期的に見てランニングコストが安いのはエコキュートです。

太陽光の自家発電を利用すれば、さらに光熱費を下げることもできます。

灯油ボイラーからエコキュートへの買い替えも検討してみるのがおすすめです。

エコキュートと灯油ボイラーどっちが安い?

導入のための初期費用は灯油ボイラーの方が安いですが、年間の光熱費はエコキュートの方が安いです。

風呂沸かすのに電気ガス灯油どれが一番安く上がるの?

一番安いのは電気と空気の熱を使ってお湯を沸かすエコキュートです。

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