【追い焚き一回いくら?】電気代とガス代の違い・エコキュートと都市ガスでかかる料金目安と計算方法を解説

日常生活で最も電気やガスを消費するのはお風呂だと言われています。

「お風呂の追い焚きをすると、どのくらいの光熱費がかかるのだろう?」

こんなことが気になる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、追い焚き一回あたりにかかる電気代とガス代の目安について解説します。

エコキュートと都市ガスの場合の、具体的な計算方法も紹介するので、参考にしてみてください。

目次

【追い焚き一回いくら?】電気代とガス代の概算目安

一般に、お風呂の残り湯は、翌朝でも20〜25℃くらいの温度があると言われています。

前日のお風呂の残り湯を、翌日に追い焚きする場合、かかる電気代とガス代の目安は次のようになります。

分類追い焚き1回あたり
エコキュートの電気代約35円〜55円
都市ガス給湯器のガス代約100円以上

上記は、次のようなケースを想定して、追い焚き1回にかかる電気代またはガス代を、試算した結果です。

  • 追い焚きしたいお風呂の湯量(残り湯)は200L
  • 20℃のお湯(200L)を、もう一度40℃まで温め直したい

実は、必要な電気代またはガス代は、水を温めるのに必要な熱量から換算して計算します。

次で、計算根拠をもう少し具体的に見ていきましょう。

【エコキュート編】追い焚き一回あたりに必要な電力量と電気代

追い焚き一回に必要な電力量は約4.6kWh

エコキュートは電気消費量の節約に優れた給湯器です。

エコキュートは自然のなかにある大気の熱を利用してお湯を作ります。

そのため、大気の熱を利用せずに電気だけでお湯を沸かす場合に比べて、電気消費量を約1/3に抑えられます。

これは分かりやすく言い換えると、次のようにも言えます。

1の電気エネルギーをエコキュートに投入すると、3のエネルギーに増幅させて、熱を作り出してくれる

一般的な熱量計算を前提にすると、20℃のお湯(200L)を40℃まで温めたい場合、本来なら約4.644 kWhの電力が必要な計算になります。

しかしエコキュートの場合、追い焚き一回あたりに必要な電力量の目安はその1/3の約1.548 kWhで済むというイメージです。

20℃のお湯(200L)を40℃まで温めたい場合に約4.644 kWhの電力が必要となる計算過程は下記のとおりです。

計算過程はこちら

水の温度を上昇させるために必要な熱量は、以下の式を使って求めることができます。

必要な熱量(単位はKJ)=お湯の質量(単位はkg)✕ 比熱容量(単位はKJ/kg・℃)✕ 温度変化(℃)

※一般に、水の比熱容量は約4.18 KJ/kg・℃ とされています。

200Lの水(お湯)を20℃から40℃に温める場合、必要な熱量は下のように計算できます。

必要な熱量(単位KJ)=200kg ✕ 4.18 KJ/kg・℃ ✕ (40℃ー20℃)= 16,720 KJ

では次に、16,720 KJを、電力の単位であるkWhに換算計算していきましょう。

1 kWhは、1kWの電力が1時間(60分)流れた場合に消費されるエネルギー量を表します。

1 kWh = 1kW × 1時間 = 3,600 KJとされているため、換算するための公式は下記のとおりです。

必要なエネルギー量(単位はkWh)=必要な熱量(単位はKJ)÷ 3,600 KJ/kWh

200Lの水(お湯)を20℃から40℃に温める場合に必要な電力量は下のように計算できます。

必要なエネルギー量(単位はkWh)=16,720 KJ ÷ 3,600 KJ/kWh = 4.644 kWh

さらに、エコキュートの場合は消費電力量が3分の1で済みます。

消費電力量が3分の1ですむため、追い焚き一回あたりに必要な電力量は、下の計算のようになります。

4.644 kWh ✕ ⅓  =1.548 kWh

追い焚き一回に必要な基本料金は約35円〜55円【九州電力エリア】

追い焚き1回あたり必要な電力使用量は1.548 kWhとした場合、いくらの電気代がかかるのでしょうか。

電気代は、消費電力量(単位はkWh)に電気料金の単価(単位は円/kWh)を乗じることで求めることができます。

追い焚き1回あたりの電気代(円)= 消費電力量(kWh)✕ 電力料金の単価(円/kWh)

そこで気になるのが、1kWhあたりの電気代(円/kWh)です。

ここからは、九州電力の管轄エリアを例に、具体的に計算してみます。

一般に、エコキュートの場合は深夜料金が安いプランを採用しているご家庭が多いです。

九州電力エリアの場合は「電化でナイトセレクト」という料金プランが一般的です。

出典:九州電力HP

夜間の料金であれば、上図のように電力料金の単価は14.48円/kWhです。

夜間の料金に基づくと電気代は下の計算のように約22円ということになります。

追い焚き1回あたりの電気代(円)= 1.548 kWh ✕ 14.48円/kWh = 22.41円

昼間(夏・冬)の料金であれば、追い焚き1回あたりの電気代は下の計算のように約42円ということになります。

追い焚き1回あたりの電気代(円)= 1.548 kWh ✕ 27.57円/kWh = 42.67円

以上から、追い焚き1回あたりの電気代(円)は、タイミングによって概ね20円〜40円程度になります。

ただ、昨今は、燃料費調整単価の高騰が話題になっていますね。

燃料費調整単価の上乗せ金額が無視できない額になっているため、実際には、これも考慮するほうが現実的です。

毎月変動:燃料費調整単価の影響は約10〜15円前後

燃料費調整単価とは、輸入燃料(LNGなど)の価格高騰分を電気料金に上乗せする単価のことです。

燃料費調整単価は毎月変動するため、具体的に計算したい方は手元に電気料金請求書を準備してみましょう。

例えば、このように記載がされていると思います。

仮に燃料費調整単価が 10円 / /kWhだとすると、燃料費調整分が15円くらいが上乗せされているイメージになります。

追い焚き1回あたりの燃料費調整分の電気代(円)=  1.548 kWh ✕ 10円/kWh = 15.48円

さきほども計算したように、追い焚き1回あたりの電気代(基本料金の部分)は概ね20円〜40円程度です。

例)九州電力エリアの場合(基本料金の部分)

  • 夜間の料金なら約20円/1回あたり
  • 昼間の料金なら約40円/1回あたり

追い焚き1回に必要な燃料費調整額が約15円だとすると、実際にかかる電気代は約35円〜55円です。

例)九州電力エリアの場合(基本料金の部分+燃料費調整額)

  • 夜間の料金なら約35円/1回あたり
  • 昼間の料金なら約55円/1回あたり

この燃料費調整の値上げ幅は地域によって異なるため、正確に計算してお伝えすることは困難です。

ぜひご自身のお住まいの地域で確認してみてください。

注意:エコキュートが最も電力を消費するのはお湯を作るとき

一般にエコキュートで最も電力を消費するのは、水からお湯を作るとき、つまりタンクのお湯の沸き増しを行うときです。

タンク内にお湯がたっぷりある状態であれば、追い焚き機能を稼働させても、電気はあまり消費しません。

すでにあるタンク内のお湯の熱を、熱交換器をつかって移動させているだけだからです。

たしかに機械を動かすのに多少の電気は必要です。

しかし、その消費電力は、水からお湯を作るための消費電力に比べると、それほど多くないと考えて差し支えありません。

昼間に追い焚きしたとしても、タンク内のお湯が満タン状態であれば、深夜料金でつくった熱で、追い焚きしていると考えてよいでしょう。

タンク内のお湯がが空っぽの状態で追い焚きをする場合には、注意が必要です。

まずお湯を作る沸きましの動作から開始することになるため、タイミングが昼間の場合、電気代は昼間の料金が適用されます。

結果的に電気代が割高になるので注意が必要です。

なお、必要な電力量は、追い焚きの回数や使用するエコキュートの機能・種類や設定によって異なってきます。

ここまで説明した数字はあくまで参考程度にしておきましょう。

もし、ご自宅のエコキュートについて具体的に調べたい場合は、機種や性能を踏まえて、しっかりとした専門業者に相談して調査してもらうことをおすすめします。

【都市ガス編】追い焚き一回あたりに必要なガス使用量とガス代

追い焚き一回に必要なガス使用量は約0.39〜0.46㎥

都市ガス給湯器は、日本に数多く普及している給湯器です。

エコキュートは熱エネルギーを約3倍に増幅させますが、都市ガス給湯器には熱エネルギーを増幅させる機能はありません。

むしろ、排気ガスなどで熱エネルギーの一部が排気熱ロスとして逃げてしまう仕組みになっています。

一般的な都市ガス給湯器の熱効率は75%〜80%程度といわれています。

排気熱ロスを極限まで抑えた高効率ガス給湯器(エコジョーズ)でも、熱効率95%です。

一般的な熱量計算を前提にすると、20℃のお湯(200L)を40℃まで温めたい場合、約0.464 ㎥のガスが必要です。

熱効率が95%のエコジョーズでも、20℃のお湯(200L)を40℃まで温めたい場合、必要なガス使用量は0.391㎥となります。

計算過程はこちら

水の温度を上昇させるために必要な熱量は、以下の式を使って求めることができます。

必要な熱量(単位はKJ)=お湯の質量(単位はkg)✕ 比熱容量(単位はKJ/kg・℃)✕ 温度変化(℃)

※一般に、水の比熱容量は約4.18 KJ/kg・℃ とされています。

200Lの水(お湯)を20℃から40℃に温める場合、必要な熱量は下のように計算できます。

必要な熱量(単位KJ)=200kg ✕ 4.18 KJ/kg・℃ ✕ (40℃ー20℃)= 16,720 KJ

ここで、お使いのガス給湯器の熱効率が80%の場合、排気ロスが20%ぶんあるため、予め多くガスを投入する必要があります。

つまり16,720KJの熱エネルギーで水を温めるには、実際には20%ぶんのロスも考慮して、下の計算のようにあらかじめ20,900KJの熱エネルギーを作っておく必要があるのです。

必要な熱量(単位はKJ)= 16,720KJ ÷ 80% = 20,900KJ 

では次に、20,900 KJを、ガスの単位である㎥に換算計算していきましょう。

一般に、都市ガス1㎥あたりの標準熱量は 45,000KJとされているため、換算するための公式は下記のとおりです。

必要なガス使用量(単位は㎥)=必要な熱量(単位はKJ)÷ 45,000 KJ/㎥

したがって20,900KJを作るために必要なガス使用量は次のように計算されます。

必要なガス使用量(単位は㎥)=20,900KJ ÷ 45,000KJ/㎥ =0.464 ㎥ 

もし、お使いのガス給湯器が熱効率95%のエコジョーズの場合は、次のように計算できます。

必要な熱量(単位はKJ)= 16,720KJ ÷ 95% = 17,600KJ 

必要なガス使用量(単位は㎥)=17,600KJ ÷ 45,000KJ/㎥ = 0.391㎥

追い焚き一回に必要なガス代は100円以上

追い焚き1回あたり必要なガス使用量が0.464 ㎥の場合、いくらのガス代がかかるのでしょうか。

ガス代は、ガス使用量(単位は㎥)にガス料金の単価(単位は円/㎥)を乗じることで求めることができます。

追い焚き1回あたりのガス代(円)= ガス使用量(㎥)✕ ガス料金(円/㎥)

そこで気になるのが、1㎥あたりのガスの値段( 円/㎥ )です。

ここからは、九州エリアの都市ガス料金を例に、具体的に計算してみます。

2023年4月現在、九州エリアの都市ガス大手である西部ガスの場合、1㎥あたりの従量単価は256円です。

したがって、追い焚き1回あたりのガス代は下の計算のように118円となります。

追い焚き1回あたりのガス代(円)= 0.464 ㎥ ✕ 256円/㎥ = 118円

エコキュートか都市ガス給湯器かで迷ったら

2023年は電気代が高騰しているため「エコキュートよりガス給湯器の方が安いのでは?」と考える方もいらっしゃいます。

しかし本記事でご紹介した追い焚きの計算例でも分かるように、2023年現在も、エコキュートの方が圧倒的に有利です。

九州電力エリアの場合、エコキュートなら燃料費調整分を上乗せしても追い焚き1回のコストは約35円〜55円ですが、ガスの場合は118円となります。

追い焚きにかかる電気代とガス代を比較してみると、都市ガス給湯器はエコキュートに比べ約2倍コストがかかります。

分類追い焚き1回あたりのコスト
エコキュートの電気代約35円〜55円
都市ガス給湯器のガス代約100円以上

電気については、燃料費調整による料金単価の上乗せされ、値上がりが話題にされています。

しかし都市ガスについても、実際のところは原料費調整という料金単価の上乗せがされているため、値上がり傾向です。

したがって、単純にガス戻せば安いという話にはならない時代です。

エコキュートの省エネ効果は非常に高いうえ、後々、太陽光発電を導入・連携することで電気代を節約する自家発電・自家消費の選択肢も視野に入ってきます。

しかし、ガスの場合はそういった他の選択肢が一切ありません。

給湯器の交換や買い替えを検討するなら、ぜひエコキュートを視野にいれて検討することをおすすめします。

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