電気温水器からエコキュートにするメリット・デメリットは?寿命の違いや価格・トータルコストの特徴
現在お使いの電気温水器をエコキュートに変えたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
どちらも電気でお湯を沸かす給湯器になりますが、2つの違いが「よく分からない」という方も多いようです。
そこで、ここでは電気温水器からエコキュートにする
- メリット・デメリット
- 寿命の違い
- 価格やトータルコストの特徴
について詳しく紹介します。
電気温水器とエコキュートの違い【3つのポイント】を解説
電気温水器とエコキュートの湯沸かしの仕組み
電気温水器とエコキュートの原動力は電気です。
どちらも電気の力でお湯を沸かす給湯器ですが、この2つの給湯器には大きな違いがあります。
それぞれの仕組みを見ていきましょう。
電気温水器の仕組み
一般的な電気温水器は、電熱ヒーターの熱で水を温めてお湯を沸かす給湯器です。
電気温水器は、家庭用の電気ポットを大きくしたようなものとイメージするとわかりやすいでしょう。
貯湯タンク内は電気ポットのような構造になっており、内蔵された電熱ヒーターを使ってお湯を沸かす仕組みになっています。
一般的な電気温水器の内部は次のような構造です。
電気温水器は熱エネルギーだけを利用してお湯を沸すため、どうしても熱効率が低くなり、多くの電力を消費します。
エコキュートの仕組み
一方エコキュートは、熱を作り出し水を温めお湯にするヒートポンプと、お湯を貯める貯湯タンクの2つのユニットに分かれています。
ヒートポンプで汲み上げられた空気は圧縮され、高熱を発してお湯を作る仕組みです。
一般的なエコキュートの内部は次のような構造です。
出典:Panasonic
エコキュートは空気で作った熱エネルギーを利用するため、より効率的にお湯を作る構造になっており、電気温水器の約1/3の電力でお湯を作ることが可能です。
電気温水器とエコキュートは同じ電気を使った給湯器ですが、熱効率はエコキュートの方が断然エコで省エネにつながります。
電気温水器とエコキュートの寿命の違い
電気温水器とエコキュートの一般的な平均寿命は、10~15年とされています。
また、電気温水器とエコキュートの貯湯タンクについているメーカー保証は、どちらも基本5年です。
ただ、エコキュートの場合は、ヒートポンプと貯湯タンクという2つのユニットに分かれています。
エコキュートの貯湯タンクについているメーカー保証は5年とされていますが、ヒートポンプのメーカー保証は基本3年です。
電気温水器とエコキュートの寿命の違いは次の通りです。
- 電気温水器:メーカー保証5年
- エコキュート(貯湯タンク):メーカー保証5年
- エコキュート(ヒートポンプ):メーカー保証3年
ただし、上記はあくまでも一般的なデータです。立地や日頃のメンテナンスによっても寿命は変動します。
電気温水器とエコキュートの価格の違い
電気温水器やエコキュートの価格は、性能やタンクの大きさ・依頼する業者によって異なります。
一般的な電気温水器の工事費込みの価格相場は、20〜40万円程度です。
一方、エコキュートの工事費込みの価格相場は、40万円~70万円です。
同じ370Lのタンク容量で比較すると、電気温水器よりエコキュートの方が5~10万円ほど割高になります。
電気温水器は構造がシンプルなため、エコキュートに比べると価格が安い傾向です。
ただし、2022年頃から各メーカーは電気温水器の値上げを実施しています。
そのため、設置後の電気代などトータルコストを含めて考えると、エコキュートの方が総合的に見てお得な状況が加速しています。
電気温水器からエコキュートにするメリット・デメリット
メリット①トータルコストが安くなる
エコキュートの最大のメリットは、電気代のコスト削減です。
パナソニックの公開データに基づけば
- 電気温水器:年間約102,000円
- エコキュート:年間約24,000円
電気温水器と比較すると約3~4倍も電気代が安くなり、さらに10年間で計算すると、エコキュートは約79万円もコストを抑えることができます。
また、省エネで環境にも優しいとされるエコキュートの設置には、自治体から補助金を受けられる制度もあります。
ランニングコスト面を考えるなら、エコキュートへ買い換えることをおススメします。
メリット②補助金が受けられることがある
エコキュートを設置すると、補助金が受けられることがあります。
令和4年度の補正予算で、エコキュートをはじめとする『高効率給湯器』に対する補助金を出すことが決定しました。
エコキュートの補助金は1台当たり5万円。補助金の対象は、2022年11月8日以降にエコキュートを設置した方になります。
補助金の申請がスタートするのは2023年3月下旬の予定です。
今年度は300億円とかなり高額の予算が組まれているものの、今回の補助金は先着順となっているため注意が必要です。
補助金を受けられるのは、次の基準を満たしている方が対象になります。
国が許可した指定業者による設置
国が事前に『指定業者』として認めた会社から、エコキュートを購入した方が対象になります。
依頼する業者が補助金事業の指定かどうかは、業者に直接確認しましょう。
指定基準を満たした機種
補助金の対象となるエコキュートは、省エネ法上2025年度の目標数値を満たした機種のみになります。
補助金の対象機種かどうかは、購入する前に必ず業者へ確認してください。
また、補助金の申請に備えて、エコキュートの設置に関わる書類などは大切に保管しましょう。
メリット③環境に優しい
エコキュートという商品名は、いくつかの造語を組み合わせています。
- エコロジー(環境に優しい)
- エコノミー(経済的)
- キュート(給湯器)
- キュート(可愛い)
これらを組み合わせて誕生したエコキュートは、二酸化炭素を冷媒として使っている給湯器です。
エコキュートの構造は「地球温暖化を防止するために優れている」と世界的にも注目されています。
CO2の削減に貢献できるという点も、エコキュートのメリットと言えるでしょう。
デメリット①設置場所スペースが必要
エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクの2つのユニットを設置することになります。
一般的なエコキュートは次のような構造です。
出典:三菱電機
ヒートポンプの形は、エアコンの室外機をイメージするとわかりやすいでしょう。
エコキュートと電気温水器の貯湯タンクサイズはそれほど変わりませんが、エコキュートはヒートポンプユニットを設置するため、より広いスペースが必要になります。
ただし、貯湯タンクとヒートポンプユニットの設置間隔は、15mまで空けることが可能ですので、必ずしも並行に設置する必要はありません。
ヒートポンプユニットと貯湯ユニット間はどのくらい離せますか。またヒートポンプユニットはどのくらいの高さまで可能ですか?
https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/kyutou/q_a/a14.html
ヒートポンプ配管は10A(φ12.7)を使用し、15mまで可能です。高低差は貯湯ユニット設置面から±3m(薄型タンクの場合は+0.1m~-3m)となります。
スペースの問題があるご家庭は、ぜひ業者に問い合わせてみましょう。
デメリット②騒音対策が必要
電気温水器は稼働中、音が出ないのが特徴です。無音に近い状態ですので、騒音で悩むことはありません。
一方エコキュートの場合、稼働中の騒音によるトラブルも起きています。
エコキュートはヒートポンプを使って効率的にお湯を沸かすという特徴がありますが、このヒートポンプが回っている間、運転音が発生します。
基本的に、エコキュートが稼働するのは深夜から朝方にかけて。どうしても周囲が寝静まった時間帯の運転は、日中以上に騒音が気になるでしょう。
そのため設置場所によっては、近所とトラブルに発展する可能性もあるため騒音対策が必要です。
最もポピュラーな方法としては
- 室外機の正面に防音フェンスを付ける
- 室外機の下に防振ゴムを敷く
などして、エコキュートの振動を抑えることで騒音を軽減できます。
また、電気代は高くなってしまいますが、稼働時間を深夜から昼間に変えるのも1つの方法です。
エコキュートは一度設置してしまうと騒音が起きたからと言って、安易に設置場所を変更するのは難しいでしょう。
そのため、取り付け工事をする前に近所への説明を行い、理解を得ることも重要といえます。
デメリット③電力会社への申請・契約変更が必要
電気温水器からエコキュートに交換する場合、電力会社への申請が必要になります。
エコキュートを取り付けるときは、専用のブレーカーを設置してエコキュート本体と繋ぐ配線工事が必要です。工事前には、必ず電力会社へ申請を行ってください。
また、エコキュートを設置するには、電気料金の契約変更も必要です。
一般的なエコキュートは、電気代が安い『深夜から朝方』に稼働することで電気代を削減できます。
各電力会社では、家庭用エコキュートに最適な割引プランを提供しているでしょう。
エコキュート最大のメリットでもある「ランニングコスト」を抑えるためには、電気プランを変更する必要がありますが、手続きが面倒という点がデメリットに挙げられます。