温泉ポンプの種類と仕組みは?温浴施設に関わる汲み上げ・循環システムを分かりやすく解説

「温泉ポンプの仕組みや種類が複雑でよくわからない…」

「温泉ポンプはどんな場所で使われているの?」

そんな疑問を解決するための記事です。

そもそも、温泉を利用した温浴施設では、地下からの汲み上げやお湯の再利用、各浴槽への配湯など役割に応じて様々なポンプが導入されています。

新しく温泉を掘削する現場や、地下深くから大量の温泉水を引き上げるシーンでよく話題になるのは、源泉を汲み上げる水中ポンプです。

一方、お風呂の衛生管理や、源泉かけ流し以外の温泉ホテルなどの場面では、加圧・循環ポンプがお湯を清潔に保ったり、適所にお湯を送るために重要な役割を担っています

この記事では、温泉ポンプの種類と仕組みを、基本的な「温泉設備全体のシステム」から分かりやすく解説します。

目次

温泉施設に関わるポンプ分類と整理

温泉施設に関わるポンプは大きく分けて2種類だけ

カタログには数え切れないほどの温泉ポンプが掲載されていますが、機械としての分類は、大きくわけて2つに整理できます。

【大きな分類と整理】

ポンプの構造設置する場所お湯を運ぶ仕組み
温泉の汲み上げポンプ井戸近辺や源泉の深い水の中お湯を地下から上に向かって力強く押し上げる(揚水目的)
循環・加圧ポンプ機械室や配管などの陸上のスペースお湯を吸い込んで勢いよく吐き出す(循環または加圧目的)

一般に温泉ポンプというと、源泉を汲み上げるポンプを指すことが多いです。

汲み上げる地下の深さによって採用されるタイプは様々ですが、温泉施設で採用される汲み上げポンプは基本的には井戸ポンプ(水中ポンプ)です。

一方、地上の温泉施設内で「配湯用」「昇温用」などに利用されるポンプは、実は「循環・加圧ポンプ」の使い道を表して別々に表現しているだけです。基本的に、内部構造は渦巻き式のポンプが主流になっています。

温泉や温浴施設で使われるポンプを理解するには、

  • 源泉を汲み上げるためのポンプなのか
  • 地上でお湯を動かすためのポンプなのか

この2つを整理して、回路をみていくと理解が早いです。

源泉を汲み上げる!温泉ポンプの仕組み

汲み上げ用の温泉ポンプは、お湯を汲み上げる地下の「深さ」によって最適な機械が異なります。

浅い場所から吸い上げるなら地上に置く「浅井戸ポンプ」が選ばれ、深い場所から押し上げるなら水中に沈める「水中ポンプ(深井戸用)」が選ばれます。

ここでは分かりやすく以下のポイントを説明していきます。

  • 浅い水源と深い水源(深井戸)によるアプローチの違い
  • 深くから押し上げる「水中ポンプ」の圧倒的な特徴
  • 浅い水源や省スペースで活躍する「井戸用ポンプ(地上設置)」

浅い水源と深い水源(深井戸)によるアプローチの違い

源泉を汲み上げる際は、井戸を掘る深さによって「浅井戸」と「深井戸」の2つのアプローチに分かれます。

浅井戸は、深さ30メートル未満の比較的浅い地下水を狙う仕組みです。

浅井戸の工事費用は数十万円程度と安く済みますが、浅いぶん地上の天気や気温の影響をダイレクトに受けるため、泉質が悪かったり、量が不安定になりやすいという弱点を持っています。

一方、深井戸は30メートルよりも深い場所から温泉を引き上げます。

深井戸の工事費用は数百万円単位でかさみますが、地下深くの安定した水源を利用するため、1年を通して豊富な水量と一定の泉質を保ちやすいのが特徴です。

井戸の種類掘削する深さの目安費用の目安と湯量の安定性
浅井戸地下30メートル未満費用は安いが泉質・湯量が天候や環境に左右される
深井戸地下30メートル以上費用は高いが1年中泉質・湯量が安定しやすい

浅井戸はお湯の量が不安定になるため、本格的な温泉施設のメイン水源としては少し心もとないのが現実です。

お風呂用ではなくトイレの洗浄水や庭の散水用として割り切って使うなら、初期費用を大幅に抑えられる賢い選択になります。

一方で、中〜大規模の温泉施設なら、深井戸を掘削して豊富な源泉を確保する必要があります。

深くから押し上げる「水中ポンプ」の圧倒的な特徴

大規模な温泉施設や深井戸で源泉を汲み上げるなら、強力なパワーを持つ「水中ポンプ」が一択になります。

水中ポンプは、機械本体を深い水の中に直接沈めて動作する仕組みです。

インペラーと呼ばれる回転する羽が水の中で直接動き、水圧に負けずに大量のお湯を効率よく地上まで押し上げてくれます。

現代の温泉施設のほとんどが、実はこの水中ポンプを採用しています。

水中ポンプは動作音がとても静かで、機械が地下の深い水の中にあるため、地上に不快な機械音が響きません。

初期費用はどうしても高額になりますが、長期間のハードな使用にも耐えられる頑丈な作りになっています。

水中ポンプの特徴仕組みとメリットおすすめの導入施設
設置する場所深い源泉の水の中に沈める源泉が深い場所にある施設
汲み上げる力インペラーで力強く押し上げる大量の源泉を使う大型施設
動作中の音水の中で動くため音が静か露天風呂の静けさを守りたい宿

浅い水源や省スペースで活躍する「井戸用ポンプ(地上設置)」

比較的小規模な施設や家庭用の温泉で大活躍するのが、地上に設置する「井戸用ポンプ(浅井戸ポンプ)」です。

井戸用ポンプは、地上に置いた機械が浅い地下のお湯をストローのように吸い上げる仕組みです。

本体がとてもコンパクトに作られており、設置するスペースが限られている狭い場所でも簡単に導入することができます。

深い場所から押し上げる水中ポンプに比べると、パワーの面ではどうしても劣るという欠点があります。

しかし、小規模な施設であれば問題なく温泉を供給できます。消費電力も少ないため、毎月の電気代を数千円から数万円単位で安く抑えられるというメリットがあります。

井戸用ポンプの特徴仕組みとメリットおすすめの導入施設
設置する場所地上の限られた空きスペーススペースを広く取れない施設
汲み上げる力必要な量だけを効率よく吸い上げる必要な湯量が少なめの小規模な宿や家庭
毎月の維持費消費電力が少なく経済的毎月の電気代を節約したい施設

温泉施設で活躍する循環・加圧ポンプの仕組み

温泉施設の中には、お湯の流れをポンプの力でコントロールする場所がいくつもあります。

地下から汲み上げた源泉は、ただお風呂場へ運ばれるだけではありません。

たとえば、ぬるくなったお湯を温め直して浴槽へ戻したり、ジェットバスのように勢いよくお湯を吹き出すために強い圧力をかけたりと、快適なお風呂空間を作るために色々なポンプが裏側で活躍しています。

温泉施設で採用されやすい代表的なポンプの種類は主に3つです。

【代表的なポンプ設置場所】

  • お湯を一方通行で押し出す「配湯(加圧)」のためのポンプ
  • お湯をぐるぐる回す「循環・ろ過」のためのポンプ
  • ボイラーと連携する「昇温」のためのポンプ

源泉槽から浴槽へ!お湯を送り届ける「配湯(加圧)」の仕組み

地下から引き上げた温泉は、まず「源泉槽」という大きなタンクにプールされます。

源泉槽から、施設内の大浴場や遠く離れた露天風呂、ジャグジーといった各浴槽へ新しいお湯を送り届ける仕組みが「配湯(加圧)」です。

遠くの浴槽へお湯を届けるためには、ただお湯を流すだけではなく、圧力をかけて勢いよく押し出す力(加圧)が必要になります。

特にジャグジーのようなお風呂に勢いよくお湯を供給するには、力強いポンプの加圧の働きが欠かせません。

  • タンクに貯めた新しい源泉を各浴槽へ送り届ける
  • 遠くの露天風呂へ届けるための圧力をかける(加圧)
  • 浴槽の数や距離に合わせて機械のパワーを決める
システムの名称お湯を運ぶ仕組み選ぶ際の判断基準
配湯システム源泉槽から浴槽へ新しいお湯を送る施設内にある浴槽の数
加圧の役割圧力をかけて遠くへ勢いよく押し出す源泉槽から浴槽までの距離
目的とメリット多様な温泉体験を安定して提供する必要なお湯の量と水圧

複数の浴槽を持つ温泉施設を作る場合は、お風呂の数や距離を正確に計算する必要があります。

お湯の勢いが足りないという失敗を防ぐためにも、必要な水圧よりも少し余裕を持たせたパワーの配湯ポンプを選ぶのが確実な方法です。

お湯を常に清潔に保つ「循環・ろ過」の仕組み

お風呂に張られたお湯を常に清潔に保つために、多くの温浴施設では、新しいお湯を足す配湯とは全く別の「循環・ろ過システム」が裏側で働いています。

浴槽のお湯を排水口で吸い込んで、配管内の循環ポンプの力を使って、ろ過装置に通し、綺麗にしたお湯を再び浴槽へ戻す仕組みです。

源泉かけ流し以外の温泉施設では、湯量が限られる(お湯を効率的に再利用する)ため、この循環システムが衛生管理の要となります。

ろ過装置が髪の毛や目に見えない汚れをしっかりキャッチして綺麗にしてくれるおかげで、利用者はいつでも綺麗なお湯を楽しむことができます。

  • 浴槽とろ過装置の間で循環ポンプがお湯をぐるぐると回す
  • 髪の毛や汚れを取り除き、常に清潔な状態を維持する
  • 新しいお湯を供給する配湯回路とは完全に独立している
システムの名称お湯を運ぶ仕組み導入するメリット
循環システム浴槽のお湯を吸い込んで再び戻すお湯を常に動かして鮮度を保つ
ろ過装置の役割循環する配管の途中で汚れを取る衛生的なお風呂環境を維持する
運用時の注意点フィルターの定期的な清掃が必要掃除を怠ると機械が故障する

この循環システムを導入すれば、限られた温泉水を無駄なく有効活用できるようになります。

ただし、ろ過装置のフィルターに汚れが詰まると循環ポンプに大きな負担がかかるため、毎日のこまめな清掃スケジュールを必ず運用計画に組み込む必要があります。

ボイラーと連動して適温を作る「昇温」の役割

お風呂のお湯がぬるくなった時に、お湯を温め直して快適な温度を作る仕組みが「昇温」です。

実は「昇温専用の特別な構造の機械」があるわけではなく、実態はお湯をぐるぐる回す循環ポンプの働きを利用しています。

別の場所にあるボイラーで熱いお湯を作り、ボイラーと熱交換器の間で熱湯を回すことで、間接的に温泉の温度を上げる仕組みになっています。

熱い源泉を冷ます「冷却」の場合も、同じように冷水を回す仕組みを活用しています。

  • ボイラーで沸かした熱湯を熱交換器へ運ぶ
  • 昇温専用の機械ではなく、実態は循環ポンプの働き
  • 温泉の温度管理は、毎月の光熱費に最も直結する部分
役割の名称仕組みと連動する設備経営への影響と対策
昇温システムボイラーと熱交換器で熱湯を回すガス代や電気代に大きく影響する
冷却の役割熱すぎる源泉を冷水を使って冷ます温度調節の手間を自動化できる
選ぶ際の基準効率よく熱を伝えるシステムを作る省エネ性能の高い設備を選ぶ

温泉を上手に活用していくために。

温泉の温度の揺らぎや急激な異変は、温泉施設の心臓部の設備が悲鳴を上げていることも多いです。

温泉水の温度が高すぎる場合、ポンプの部品が熱で劣化することがあります。また、配管の詰まりやポンプの故障が複合的に絡んでいることもあります。

完全閉塞による高額な修繕や、突然の故障による休業に見舞われる前に、プロによる定期的な「健康診断」をおすすめします。

当社は、ボイラーを強みとしており、温泉施設の修繕・点検の実績もございます。

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