温泉ポンプ本体の価格相場と工事内訳|工事費が跳ね上がる2つのケース

温泉施設で採用されるポンプは、一般的な水道用ポンプとは異なり、本体価格は高額になりがちです。

高温や特殊な泉質(腐食成分)にさらされるため、安易に価格だけで選んでしまうと、わずか数年で腐食して動かなくなり、結果として多額の修理費用や営業停止による損失を招くリスクがあります。

本記事では、温泉ポンプの種類別の価格相場や工事費が跳ね上がるケースを初心者向けに解説します。

目次

温泉ポンプの価格相場|種類別の本体価格の目安

水中ポンプ(深井戸・源泉用)の価格帯

一般に温泉ポンプというと、源泉を汲み上げる水中ポンプ(深井戸・温泉用)を指すことが多いです。

汲み上げる地下の深さや泉質・温度によって採用されるタイプは様々ですが、相場は安くて50万円 〜 200万円以上まであります。

温泉用は、モーター部分に熱や腐食に強い特殊加工が施されているため、一般的な井戸用よりも高額になります。

深井戸に設置するため、高い防水性と揚程(水を押し上げる力)が求められます。

陸上ポンプ(循環・送水用)の価格帯

一方、地上の温泉施設内外で「配湯用」「昇温用」などに利用されるポンプは、陸上ポンプに分類されます。

「配湯用」「昇温用」といった言葉は「循環・加圧ポンプ」の使い道を表して別々に表現しているだけ、基本的な内部構造は渦巻き式のポンプが主流になっています。

温泉施設で採用される陸上ポンプ(循環・送水用)の本体価格の相場は、一般的には20万円 〜 80万円程度です。

設置箇所によってポンプによって役割は様々です。

例)

  • 源泉槽から送水する
  • 浴槽まで加圧・循環させる
  • 濾過システム内で温泉を回す

メンテナンスはしやすい反面、温泉の湯気にさらされるため、ポンプヘッド部分にステンレスや樹脂、チタンなどの耐食材質が使われているものが主流です。

なぜ温泉ポンプは一般的なポンプより高いのか?(特殊材質の重要性)

一般的なビルや住宅で使われるポンプは「鋳鉄(ちゅうてつ)」や「安価なステンレス(SUS304)」で作られています。

しかし、温泉にこれらを使用すると、早ければ数週間、長くても数ヶ月でボロボロになり、穴が開いて使い物にならなくなります。

泉質(化学成分)による腐食対策

温泉には、金属を溶かす成分が凝縮されています。

  • 硫黄成分: 銅や一般的な鉄を真っ黒に腐食させ、ボロボロに崩します。
  • 塩化物イオン: 海水に近い泉質では、ステンレスですら「孔食(こうしょく)」と呼ばれる針で突いたような穴が開く現象が発生します。
  • 強酸性: pH値が低い(酸性が強い)温泉は、金属を化学的に溶かします。

これに対抗するため、温泉ポンプでは「SUS316(高級ステンレス)」や、さらに耐食性の高い「チタン」、あるいは金属を一切使わない「特殊樹脂」が使われます。

「高温」による膨張とシールの摩耗対策

一般的なポンプの耐熱温度は40℃〜60℃程度ですが、源泉は80℃、90℃という高温であることも珍しくありません。

  • 熱膨張への対応: 高温になると金属は膨張します。ポンプ内部の回転体(羽根車)とケーシングの隙間が数ミリ狂うだけで、ポンプは焼き付いてロックしてしまいます。精密な熱膨張計算に基づいた設計が必要です。
  • メカニカルセールの特殊仕様: 軸の隙間から水が漏れないように止水する「メカニカルシール」という部品も、高温用は特殊なカーボンやセラミック、耐熱ゴム(フッ素ゴム等)を使用するため、ここだけで数万円のコスト差が生まれます。

「スケール(湯垢)」の付着と固着対策

温泉成分が結晶化して固まる「スケール」は、ポンプの天敵です。

  • 特殊コーティング: 羽根車の表面にスケールが付着しにくいよう、テフロン加工や特殊な研磨処理を施すことがあります。
  • メンテナンス前提の設計: 固着しても分解しやすい構造にするため、ボルト一本に至るまで耐食性の高い高価な部品が使われています。

材質別の価格イメージと適応泉質

主要な4つの材質について、その特性とコストパフォーマンスのイメージは以下の通りです。

1. SUS304(標準ステンレス)

  • 価格イメージ: ★☆☆☆☆(基準価格)
  • 適応泉質: 単純温泉、低濃度の泉質
  • 詳細解説: 一般的な給水ポンプで使用されるステンレスです。一見錆びにくいように思えますが、温泉に含まれる「塩素イオン」や「硫黄」には非常に弱いです。特に塩分を含む温泉では、金属表面の保護膜が破壊され、ミクロの穴が開く「孔食」が発生します。
  • リスク: 温泉地での使用は「とりあえずの延命」になりがちで、長期利用には向きません。

2. SUS316 / SUS316L(高級ステンレス)

  • 価格イメージ: ★★☆☆☆(標準の約1.5倍〜2倍)
  • 適応泉質: 弱食塩泉、炭酸水素塩泉、中性付近の温泉
  • 詳細解説: SUS304にモリブデンを添加し、耐食性を大幅に強化した材質です。温泉ポンプの「標準仕様」として最も多く採用されています。海水に近い成分が含まれる温泉でも一定の耐久性を発揮します。
  • メリット: コストと耐久性のバランスが最も良く、多くのメーカーが在庫を持っているため、故障時の納期も比較的安定しています。

3. 特殊樹脂(エンジニアリングプラスチック)

  • 価格イメージ: ★★★☆☆(標準の約2倍〜3倍)
  • 適応泉質: 強酸性泉、硫黄泉、高度な防錆が求められる現場
  • 詳細解説: 金属ではないため、酸による「溶け」や硫黄による「腐食」が物理的に発生しません。草津温泉のような強酸性の泉質では、金属製ポンプが数週間でダメになる中、樹脂製は圧倒的な寿命を誇ります。
  • 注意点: 熱に弱い性質があるため、80℃を超えるような超高温の源泉には不向きな場合があります。また、衝撃に弱いため、配管施工時に過度な負荷をかけない熟練の技術が必要です。

4. チタン(究極の耐食材)

  • 価格イメージ: ★★★★★(標準の約5倍〜10倍以上)
  • 適応泉質: 強酸性かつ高温、高濃度塩化物泉、あらゆる過酷な源泉
  • 詳細解説: 「絶対に壊したくない」現場の最終兵器です。航空宇宙産業でも使われるチタンは、ほぼ全ての温泉成分に対して完全な耐食性を持ちます。本体価格は100万円を優に超えることも珍しくありませんが、その分、20年近くノーメンテナンスで稼働し続けるケースもあります。
  • 経営的判断: 200万円かけてチタン製を入れ、20年持たせるか。50万円のステンレス製を4年ごとに買い替えるか(その都度かかる工事費と営業停止リスクを考慮)。このLCC(ライフサイクルコスト)計算が、経営の分かれ道となります。

【比較表】材質ごとの特性とコスト

材質耐食性(対温泉)耐熱性本体価格交換頻度の目安
SUS304△ (腐食リスク高)安価1〜3年
SUS316◎ (一般的温泉)普通5〜8年
特殊樹脂☆ (酸に最強)△ (熱に弱い)高価7〜10年
チタン★ (無敵)極めて高価15年以上

【要注意】工事費が高額・跳ね上がる2つの特殊ケース

ポンプ本体の代金以外に、必ず発生するのが「工事費」です。

一般的な交換工事では、以下の費用項目が合算されます。

例)

  • 撤去・処分費
  • 据付工事費
  • 配管・電気加工費
  • 諸経費・試運転

これらは現地調査の結果、内訳金額が決まります。

施工内容や難易度によっても金額はかなり異なります。

簡易施工でない限り、数十万円単位で予算をみておく必要があります。

以下のケースでは、高度な専門技術や大型機材が必要となるため、コストが大幅に加算されます。

ケース1. 深井戸水中ポンプの「引き上げ・建込み」作業

源泉が地下100m〜300mといった深層にある場合、ポンプの自重に加え、内部に溜まった水の重さが数トンに及ぶことがあります。

  • 特殊重機の使用: 「井戸掃除車(パーカッション)」や大型の三脚・ウィンチを組み上げる大掛かりな作業となります。
  • 工期の長期化: 揚水管を1本ずつ切り離しながら引き上げるため、作業員3〜4名体制で数日かかることも珍しくありません。この「人件費×日数」が、工事費だけで50万円超を招く主な要因となります。

ケース2. 既設配管の腐食による「付帯工事」の発生

古いポンプを外した際、接続されている周辺配管も温泉成分でボロボロになっていることが判明するケースです。

  • 連鎖的な交換: ポンプだけ新しくしても、接合部が腐食していれば、そこから漏水します。結局、周辺の配管一式をやり直すことになり、材料費と工期が当初予定の1.5倍に膨らむことがあります。

迷ったらプロの専門業者へ点検を。

温泉水の温度が高すぎる場合、ポンプの部品が熱で劣化することがあります。

また、湯量の減少は、配管の詰まりやポンプの故障が複合的に絡んでいることもあります。

完全閉塞による高額な修繕や、突然の故障による休業に見舞われる前に、プロによる定期的な「健康診断」をおすすめします。

当社は、ボイラーを強みとしており、温泉施設の修繕・点検の実績もございます。

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